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  • yanxia2008

【官邸の誰が圧力を加えたのか?】

2016.6.16(木)

 事故から2カ月後まで「公表」が遅れたとする東電の「炉心溶融」隠蔽問題。

 この日経記事によれば、今日、東電の第三者検証委員会が公表した報告書では、事故当時の首相官邸が清水正孝元社長に発表内容を事前に了承を得るように指示したなどと指摘したとありますが、清水氏の記憶が曖昧で、結局、官邸の誰から具体的にどのような指示や要請を受けたか解明はできなかったとされました。

 一方で、清水社長と枝野幸男官房長官が3月13日に面会したことを着目したとあります。

 あたかも枝野氏が圧力をかけたのではと思わせる書きぶりですが(もちろん、枝野氏はもとより、海江田氏、福山氏、細野氏などを含めて可能性としては考えられますが)、ならば枝野氏本人にも確認すべきではなかったか。

 それがなかったとすれば、欠席裁判になり、調査に正当性を欠きます。

 だいたいにおいて、当時、政府と東電の情報共有が全く体を為していなかったこと、あの混乱の中で「炉心溶融」と「炉心損壊」の違いを理解する能力が政権側に果たしてあったのか疑問符がつくのではないでしょうか。

 むしろ、清水社長のスタンド・プレーもあり得ると考えられるし、あるいはまた、当時、官邸には東電の武黒一郎フェロー(副社長待遇。東京第五検察審査会から起訴相当の議決を受け強制起訴)が詰めていたはずですから、清水社長と武黒フェローとの打ち合わせの結果ということも可能性としては考えられるのではないでしょうか(つまり「官邸」とは「武黒氏」その人ということもあり得るのではないでしょうか)。

 そして、結果として、不明瞭さが残るこの報告書が、参院選間近という微妙なこの時点で、「官邸の意向」について言及するかたちで発表されたことに、何らかの意図が働いていないのか、いぶかしく感じます(当時の民主党政府を支持するという意味では、まったくありません。むしろ批判的です)。

 なお、余談ですが、この第三者委員会の委員の中に、先日、桝添都知事の私的な依頼を受けて調査し、会見でブーイングを浴びたあの「マムシの善三」こと元東京地検特捜部副部長の佐々木善三弁護士の顔も見られたのは皮肉ですし、タイミングが良すぎます。

 桝添委員会、東電委員会共に、「当事者からの依頼」による委員会であり、これを「第三者」と呼ぶことは、はたして妥当なんでしょうか。。

官邸の誰が…踏み込まず 東電「炉心溶融」公表遅れ 検証委報告

2016/6/16 日本経済新聞

 東京電力の第三者検証委員会が16日公表した報告書では、事故当時の首相官邸が清水正孝元社長に発表内容を事前に了承を得るように指示したなどと指摘した。事故から5年がたち「第三者の目」で事実関係の解明を進めてきたが、不明瞭さは残る。

 事故発生当時、政府は原子炉の状況の説明を巡り錯綜(さくそう)した。経済産業省の旧原子力安全・保安院もいったんは「炉心溶融が進んでいる可能性がある」と発表したものの、「炉心が破損している確率はかなり高い」と説明するようになった。

 東電は今年3月、田中康久・元仙台高裁長官を委員長とする第三者検証委を設置。関係省庁への通報や社内テレビ会議での発言内容などの確認に加え、清水氏や武藤栄元副社長ら関係者のべ70人に聞き取り調査した結果、報告書をまとめた。

 第三者検証委が着目したのは、事故から2日後の2011年3月13日に清水氏と枝野幸男元官房長官による官邸での面会だ。清水氏に2回聞き取りしたが、当時の記憶が曖昧などと説明。官邸の誰から具体的にどのような指示や要請を受けたか解明はできなかった。

 田中委員長は「清水社長は(炉心溶融を)なるべく控えるのが望ましいという意向だと理解をしたのだと思われる」と説明した。

 炉心溶融の公表遅れを巡っては、東電が再稼働を目指す柏崎刈羽原発が立地する新潟県の技術委員会の要請を受け、福島原発事故時の対応を社内調査を進めている過程で判明。同社は今年2月、社内マニュアルに記載された判定基準を事故から5年にわたり見過ごし、事故から2カ月後まで公表が遅れたと発表していた。

 第三者検証委は、当初炉心溶融の定義がないなどと説明。用語の幅が広いことなどから「判定基準を隠していたとは認めがたい」と結論づけた。

 ただ、新潟県の泉田裕彦知事は16日、「虚偽の説明をしていたということで、極めて遺憾」とのコメントを出した。今後は、県の技術委員会が東電の第三者委に求めていた約70の検証項目のうち、未検証項目や検証が不十分な事項などについて、「さらに真実を明らかにする必要がある」と指摘。東電と合同で設置した別の検証委を通じて実態をさらに解明する方針だ。

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