2013.1.23(水)
日銀白川総裁は任期切れ土壇場に共同声明などという手法を是認し過度の政治介入を許してしまった。 たとえ今度の方針変更が正しいと思ったとしても、政府の圧力によってではなく、政府に反論すべきことは反論した上で、金融政策決定会合で「独自に」決める矜恃を示すべきだった。 中央銀行の独立は国内的にも国際的にも歴史の苦い教訓を経て確立してきたもののはず。 上から言われてたちまちヘナヘナとなるようでは、桜宮高校事件における市教育委員会のへつらいと同じだ。
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日銀、無期限に緩和 政府と共同声明、物価目標2%導入
2013 年 1 月 22 日 朝日新聞
政府と日本銀行は22日、デフレ脱却のために「2%」の物価上昇率の目標を盛り込んだ「共同声明」を公表した。日銀は同日の金融政策決定会合で、2%の物価目標の導入を決定。あわせて、2014年から無期限で市場にお金を流し込む新たな金融緩和策を始めることも決めた。
声明では、デフレ脱却と経済成長に向け「政府・日銀の政策連携を強化し、一体となって取り組む」と表明。日銀は物価安定の目標を「2%」と定め、「金融緩和を推進し、できるだけ早期に実現することを目指す」とした。政府は「政策を総動員し、成長力強化に向けた取り組みを強化する」「持続可能な財政を確立するための取り組みを推進する」と表明した。
日銀が物価目標を達成する期限はさだめなかったが、声明では「政府の経済財政諮問会議で定期的に検証する」とし、日銀の金融緩和の成果を諮問会議で点検していく方針を示した。
決定会合には甘利明経済再生相も出席し、政府の意向を伝えた。午後、安倍晋三首相が、声明についての見解を記者団に明らかにする。その後、日銀の白川方明(まさあき)総裁、麻生太郎財務相、甘利氏が共同声明について説明する。22日夕に開かれる諮問会議にも報告される。
日銀は決定会合で、新たな物価目標と金融緩和の手段を決めた。日銀は昨年2月、中長期的に望ましい物価上昇率の「めど」として当面1%の物価上昇をめざすとしていたが、会合では「物価安定の目標を2%とする」と改めた。ただ、政策委員9人のうち2人が反対した。
金融緩和の方法は、これまで金融機関から国債などを買う「基金」の枠を上限にお金を流し込む方法だったが、14年以降は上限を定めず、長期国債2兆円を含め、13兆円の金融資産を毎月買い入れ、市場に無期限でお金を流し込む方法に変える。現在、基金の枠は101兆円あるが、14年中に10兆円増えるという。無期限でお金を増やしている米連邦準備制度理事会(FRB)と同じようなやり方だ。緩和手法を大幅に変えるのは、「基金方式」を決めた10年10月以来、2年3カ月ぶり。
この方法をいつまで続けるかについては「必要とされる時点まで当分の間」とし、具体的な時期は示さなかった。
日銀は今回の会合で、昨年10月に公表した当面の経済見通しを見直した。欧州危機や日中関係の悪化などで、2012年度の実質成長率見通しを1・5%から1・0%に下方修正。14年度の物価上昇率の見通しは0・8%から0・9%にわずかに引き上げた。
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■政府と日銀の共同声明の骨子
・デフレからの早期脱却と経済成長の実現に向け、政府と日銀の連携を強化し、一体となって取り組む。
・日銀は物価上昇率2%の目標を導入。できるだけ早期の実現を目指す。
・政府は、規制改革などで、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取り組みを推進する。また、財政運営の信認を確保するため、持続的な財政構造確立のための取り組みを推進する。
・経済財政諮問会議は、物価目標に照らした物価の現状と見通しを定期的に検証する。