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Historical Archives

#090 沖縄慰霊の日

令和元年沖縄全戦没者追悼式

平和宣言、平和の詩、首相あいさつ

2019.06.23(日)

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アンカー 1

玉城デニー沖縄県知事

​平和宣言

平和宣言

 戦火の嵐吹きすさび、灰燼(かいじん)に帰した「わした島ウチナー」。

 県民は、想像を絶する極限状況の中で、戦争の不条理と残酷さを身をもって体験しました。

 あれから74年。忌まわしい記憶に心を閉ざした戦争体験者の重い口から、後世に伝えようと語り継がれる証言などに触れるたび、人間が人間でなくなる戦争は、二度と起こしてはならないと、決意を新たにするのです(拍手)。

 戦後の廃墟(はいきょ)と混乱を乗り越え、人権と自治を取り戻すべく米軍占領下を生き抜いた私達(たち)ウチナーンチュ。その涙と汗で得たものが、社会を支え希望の世紀を拓(ひら)くたくまいしい営みをつないできました。

 現在、沖縄は、県民ならびに多くの関係者の御(ご)尽力により、一歩一歩着実に発展を遂げつつあります。

 しかし、沖縄県には、戦後74年が経過してもなお、日本の国土面積の約0・6%に、約70・3%の米軍専用施設が集中しています。広大な米軍基地は、今や沖縄の発展可能性をフリーズさせていると言わざるを得ません(拍手)。

 復帰から47年の間、県民は、絶え間なく続いている米軍基地に起因する事件・事故、騒音等(とう)の環境問題など過重な基地負担による生命の不安を強いられています。今年4月には、在沖海兵隊所属の米海軍兵による悲しく痛ましい事件が発生しました。

 県民の願いである米軍基地の整理縮小を図るとともに県民生活に大きな影響を及ぼしている日米地位協定の見直しは、日米両政府が責任を持って対処すべき重要な課題です(拍手、指笛)。

 国民の皆様には、米軍基地の問題は、沖縄だけの問題ではなく、我が国の外交や安全保障、人権、環境保護など日本国民全体が自ら当事者であるとの認識を持っていただきたいと願っています(拍手)。

 我が県においては、日米地位協定の見直し及び基地の整理縮小が問われた1996年の県民投票から23年を経過して、今年2月、辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票が実施されました。

 その結果、圧倒的多数の県民が辺野古埋め立てに反対していることが、明確に示されました(大きな拍手、指笛)。

 それにもかかわらず、県民投票の結果を無視して工事を強行する政府の対応は、民主主義の正当な手続きを経て導き出された民意を尊重せず、なおかつ地方自治をも蔑(ないがし)ろにするものであります(拍手)。

 政府におかれては、沖縄県民の大多数の民意に寄り添い、辺野古が唯一との固定観念にとらわれず、沖縄県との対話による解決を強く要望いたします(拍手、指笛)。

 私たちは、普天間飛行場の一日も早い危険性の除去と、辺野古移設断念を強く求め、県民の皆様、県外、国外の皆様と民主主義の尊厳を大切にする思いを共有し、対話によってこの問題を解決してまいります(拍手、指笛)。

 時代が「平成」から「令和」へと移り変わる中、世界に目を向けると、依然として、民族や宗教の対立などから、地域紛争やテロの脅威にさらされている国や地域があります。

 貧困、難民、飢餓、地球規模の環境問題など、生命と人間の基本的人権を脅かす多くの課題が存在しています。

 他方、朝鮮半島を巡っては、南北の首脳会談や米朝首脳会談による問題解決へのプロセスなど、対話による平和構築の動きもみられます。

 真の恒久平和を実現するためには、世界の人々が更に相互理解に努め、一層協力・調和していかなければなりません。

 沖縄は、かつてアジアの国々との友好的な交流や交易を謳(うた)う「万国津梁(ばんこくしんりょう)」の精神に基づき、洗練された文化を築いた琉球王国時代の歴史を有しています。

 平和を愛する「守禮(しゅれい)の邦(くに)」として、独特の文化とアイデンティティーを連綿と育んできました。

 私たちは、先人達から脈々と受け継いだ、人を大切にする琉球文化を礎に、平和を希求する沖縄のチムグクルを世界に発信するとともに、平和の大切さを正しく次世代に伝えていくことで、一層、国際社会とともに恒久平和の実現に貢献する役割を果たしてまいります(拍手)。

 本日、慰霊の日に当たり、国籍や人種の別なく、犠牲になられた全ての御霊(みたま)に心から哀悼の誠を捧げるとともに、全ての人の尊厳を守り誰一人取り残すことのない多様性と寛容性にあふれる平和な社会を実現するため、全身全霊で取り組んでいく決意をここに宣言します(拍手、指笛)。

 

 御元祖(うぐわんす)から譲(ゆじ)り受きてぃ、太平(てーふぃー)(平和)世(ゆー)願(にげー)い愛(かな)さしっちゃる肝心(ちむぐくる)、肝清(ちむぢゅら)さる沖縄人(うちなーんちゅ)ぬ精神(たまし)や子孫(くわんまが)んかい受け取(とぅ)らさねーないびらん(拍手)。

 幾世(いちぬゆー)までぃん悲惨(あわりくり)さる戦争(いくさ)ぬねーらん、心(くくる)安(や)しく暮らさりーる世界(しけー)んでぃし、皆(んな)さーに構築(ちゅくてぃ)いかんとーないびらん(拍手)。

 わした沖縄(うちなー)御万人(うまんちゅ)と共(とぅむ)に努(ちとぅ)み尽(ち)くち行ちゅる思(うむ)いやいびーん(拍手、指笛)。

 

  We must pass down Okinawa’s warm heart we call “Chimugukuru” and its spirit of peace, inherited from our ancestors, to our children and grandchildren.

  We will endeavor to forge a world of everlasting peace.

  I am determined to work together with the people of Okinawa(拍手、指笛).

 ※方言及び英語の訳

 先人から受け継いだ、平和を愛する沖縄のチムグクル(こころ)を後世(子や孫)に伝えなければなりません。

 いつまでも平和で安心した世界をみんなで築いていかなければなりません。

 沖縄県民の皆さんと共に努力していくことを決意します。

 

令和元年6月23日

  沖縄県知事 玉城デニー(拍手、指笛)

2019年平和の詩「本当の幸せ」
糸満市立兼城小6年・山内玲奈さん

青くきれいな海

この海は

どんな景色を見たのだろうか

爆弾が何発も打ちこまれ

ほのおで包まれた町

そんな沖縄を見たのではないだろうか

 

緑あふれる大地

この大地は

どんな声を聞いたのだろうか

けたたましい爆音

泣き叫ぶ幼子

兵士の声や銃声が入り乱れた戦場

そんな沖縄を聞いたのだろうか

 

青く澄みわたる空

この空は

どんなことを思ったのだろうか

緑が消え町が消え希望の光を失った島

体が震え心も震えた

いくつもの尊い命が奪われたことを知り

そんな沖縄に涙したのだろうか

 

平成時代

私はこの世に生まれた

青くきれいな海

緑あふれる大地

青く澄みわたる空しか知らない私

海や大地や空が七十四年前

何を見て

何を聞き

何を思ったのか

知らない世代が増えている

体験したことはなくとも

戦争の悲さんさを

決して繰り返してはいけないことを

伝え継いでいくことは

今に生きる私たちの使命だ

二度と悲しい涙を流さないために

この島がこの国がこの世界が

幸せであるように

 

お金持ちになることや

有名になることが

幸せではない

家族と友達と笑い合える毎日こそが

本当の幸せだ

未来に夢を持つことこそが

最高の幸せだ

 

「命(ぬち)どぅ宝」

生きているから笑い合える

生きているから未来がある

 

令和時代

明日への希望を願う新しい時代が始まった

この幸せをいつまでも

安倍晋三内閣総理大臣あいさつ

 令和元年沖縄全戦没者追悼式が執り行われるに当たり、沖縄戦において、戦場に斃れたみ霊、戦禍にあわれ亡くなられたみ霊に向かい、謹んで哀悼の誠をささげます。

 

 先の大戦において、ここ沖縄は、苛烈を極めた地上戦の場となりました。二十万人もの貴い命が失われ、この地の誇る美しい自然、豊かな文化は、容赦なく破壊されました。全ての戦没者の無念、ご遺族の方々の言葉に表し得ない悲しみ、沖縄が負った癒えることのない深い傷を思うとき、胸ふさがる気持ちを禁じ得ません。

 

 沖縄戦から74年。犠牲となった方々が送るはずであったそれぞれの未来に思いを致し、こうした尊い犠牲の上に、今日、私たちが享受する平和と繁栄がある。そのことを改めて深くかみしめながら、静かに頭を垂れたいと思います。

 

 我が国は、戦後一貫して、平和を重んじる国家として、ひたすらに歩んでまいりました(ヤジ)。戦争の惨禍を二度と繰り返さない。この誓いは令和の時代においても決して変わることはありません。平和で、希望に満ちあふれる新たな時代を創り上げていく。そのことに不断の努力を重ねていくことを、改めて、み霊にお誓い致します(ヤジ)。

 

 沖縄の方々には、永きにわたり、米軍基地の集中による大きな負担を担っていただいております。この現状は、なんとしても変えていかなければなりません(ヤジ)。政府として、基地負担の軽減に向けて、一つ一つ、確実に、結果を出していく決意であります(ヤジ)。

 

 昨年引き渡しがなされた西普天間住宅地区跡地は、嘉手納以南の土地の返還計画に基づき実現した初の大規模跡地であり、基地の跡地が生まれ変わる成功例として、県民の皆さまに実感していただけるよう、跡地利用の取り組みを加速します(ヤジ)。

 

 引き続き、「できることはすべて行う」、「目に見える形で実現する」との方針の下(ヤジ)、沖縄の基地負担軽減に全力を尽くしてまいります。(「ウソをつけ」の大きなヤジあり)

 

 美しい自然に恵まれ、アジアの玄関口に位置する沖縄は(ヤジ)、今日、その優位性と潜在力を存分に生かし、大きな発展を遂げています。出生率は日本一、沖縄に魅せられて訪れた観光客は昨年度約1千万人と、6年連続で過去最高を更新しました(ヤジ)。沖縄が日本をけん引し、21世紀の「万国津梁」として世界の架け橋となる。今、それが現実のものとなりつつあります。この流れをさらに加速させるため、私が先頭に立って、沖縄の振興をしっかりと前に進めてまいります(ヤジ、拍手)。

 

 結びに、この地に眠るみ霊の安らかならんこと、ご遺族の方々のご平安を心からお祈りし、私のあいさつといたします。(大きなヤジ相次ぐ。「やめろ、やめろ」の声)

 

令和元年6月23日

内閣総理大臣 安倍晋三

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