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#47 南シナ海問題ハーグ仲裁裁判所仲裁判断

(2016.7.12)

中国は覇権膨張主義を改め、国際法を遵守すべし。

米国は国連海洋法条約を批准し加盟せよ。

 

◉ 仲裁判断に関する報道

【朝日新聞デジタル】2016.7.13

中国主張の南シナ海境界線「根拠ない」 仲裁裁判所判決

 各国が領有権を争う南シナ海問題を巡り、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が12日、中国が権利を主張する独自の境界線「9段線」が国際法上の根拠がないとする判決を出した。南シナ海問題を巡る初の司法判断。中国が進める人工島造成などの正当性は、これで国際法上は認められなくなった。

中国は、判決を受け入れない構え。判決を強制的に履行させる手段はないが、無視すれば国際社会の批判が高まるのは必至だ。

 仲裁裁判はフィリピンが、南シナ海に関する中国の権利の主張や人工島の造成などが「国際法違反」として起こしていた。

【読売新聞】2016.7.12

中国主張に「法的根拠なし」…南シナ海仲裁裁判

 中国の南シナ海における主権の主張は国連海洋法条約に違反するなどとしてフィリピンが提訴した仲裁裁判で、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、南シナ海をほぼ囲い込む境界線「九段線」は「歴史的な権利を主張する法的根拠はない」などとする判決を示した。

 南シナ海を巡る中国の主張に国際法に基づく判断が示されたのは初めてで、フィリピンの主張がほぼ認められた。中国は判決を無視する構えだが、主権を巡る主張の根拠が否定されたことになり、外交的に厳しい立場に立たされるのは必至だ。

 訴えで大きな焦点となっていたのは、「九段線」の法的根拠と、中国が南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で造成を進める人工島の法的位置付けだった。

【毎日新聞】2016.7.13

南シナ海 「九段線」中国の権益認めず 仲裁裁判所

 南シナ海のほぼ全域に主権や権益が及ぶとした中国の主張に対し、フィリピンが国連海洋法条約違反などを確認するよう申し立てた仲裁裁判で、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、中国が主張の根拠としてきた「九段線」について、フィリピンの主張を認め「資源について中国が主張する歴史的権利には法的根拠はない」とする判決を下した。南シナ海の人工島で実効支配を進める動きについて、国際法上「ノー」が突きつけられた中国の「全面敗訴」に近い形で、中国政府は猛反発した。

 

【NHK NEWS WEB】2016.7.13

南シナ海で中国主張の管轄権認めず 国際仲裁裁判

南シナ海を巡り、フィリピンが申し立てた国際的な仲裁裁判で、裁判所は中国が主張する南シナ海のほぼ全域にわたる管轄権について、「中国が歴史的な権利を主張する法的な根拠はない」などと判断し、中国の管轄権を全面的に否定しました。

中国が南シナ海のほぼ全域の管轄権を主張しているのに対し、フィリピンは「国際法に違反している」などとして3年前、仲裁裁判を申し立て、国際法に基づく判断を求めてきました。

オランダのハーグで審理を行った仲裁裁判所は、日本時間の12日午後6時ごろ、フィリピンの申し立てに関する最終的な判断を発表しました。

この中で、裁判所は、南シナ海に中国が独自に設定した「九段線」と呼ばれる境界線の内側に「主権」や「管轄権」、それに「歴史的権利」があると主張していることについて、「中国が、この海域や資源に対して歴史的に排他的な支配をしてきたという証拠はない」と指摘しました。

そのうえで「九段線の内側にある資源に対して中国が歴史的な権利を主張する法的な根拠はない」という判断を示し中国の主張を認めませんでした。

さらに裁判所は、本来は管轄権はないとしながらも「中国が最近行った大規模な埋め立てや人工島の造成は、仲裁手続き中に紛争を悪化させたり、拡大させたりしないという義務に反する」と強調しています。

通常、仲裁裁判所は、手続きが始まったあとに起きた状況について判断することはできませんが、今回は中国の行動に懸念を示す異例の対応といえます。

南シナ海の問題を巡り、国際法に基づく判断が示されたのは初めてです。

仲裁裁判では原則として上訴することはできず、今回の判断が最終的な結論となります。

 

◉ 日本国外務大臣談話 

 

平成28年7月12日

1 フィリピン政府が開始した南シナ海をめぐる同国と中国との間の紛争に関する国連海洋法条約に基づく仲裁手続において,本12日,仲裁裁判所から最終的な仲裁判断が示されました。

2 我が国は,海洋をめぐる紛争の解決を追求するに当たって,法の支配と,力や威圧ではなく平和的な手段を用いることの重要性を,一貫して主張してきました。

3 国連海洋法条約の規定に基づき,仲裁判断は最終的であり,紛争当事国を法的に拘束するので,当事国は今回の仲裁判断に従う必要があります。我が国としては,当事国がこの判断に従うことにより,今後,南シナ海における紛争の平和的解決につながっていくことを強く期待します。

 

◉ 中国外務省声明

2016年7月12日

 一、2013年1月22日、フィリピン政府が一方的に両国間の南海問題における争議の仲裁案を申し立てた。2013年2月19日、中国政府は、フィリピン政府が提起した仲裁案を受け入れず、参加しないことを宣言し、その後も数回にわたり立場を強調した。2014年12月7日、中国政府は関連文書を発表し、南海仲裁案は「国連海洋法条約」に違反し、国際仲裁の実施にそぐわず、裁判所は管轄権を持たないことを指摘した。2015年10月29日、裁判所はその管轄権と仲裁案受理に関する裁決を発表した。中国政府は直ちに声明を発表し、この判決は無効で、拘束力がないことを指摘した。上述の通り、中国の立場は明確で一貫している。

 二、フィリピンが一方的に仲裁案を申し立てた目的には悪意があり、中国との争議を解決するためではなく、南海の平和と安定を維持するためでもない。その目的は、中国の南海における領土主権と海洋権益を否定することだ。フィリピンの仲裁を提起する行為は国際法に違反している。

 (1)フィリピンが提起した仲裁事項は、実質上南沙諸島の一部の島嶼の領土主権問題に対するもので、中国とフィリピンの海洋境界線問題と切り離すことができないものだ。領土問題が「国連海洋法条約」の調整範囲に含まれないことを知りながら、争議を「国連海洋法条約」に対する解釈或いは適用の違いという問題にすりかえた

 (2)フィリピンが一方的に提起した仲裁案は、「国連海洋法条約」の締約国である中国の、争議の解決プロセスと方法を自主的に選ぶ権利を侵している

 (3)フィリピンの一方的な仲裁提起は、両国が既に合意に達し、長年にわたり確認しあっている対話を通じて南海問題に関する争議を解決するという協議に違反している

 (4)フィリピンが一方的に提起した仲裁案は、中国とフィリピンを含む東南アジア諸国連合が2002年に「南海各側行動宣言」で約束した当事者国が直接対話を通じて関連争議を解決するという内容に背いている

 三、仲裁裁判所は、フィリピンが提起した仲裁事項が事実上、領土主権及び海洋境界線の問題であることを無視し、中国とフィリピンの問題解決に対する選択を誤解し、事実認定と法律適用において明らかな間違いを犯している。主権国家である中国と「国連海洋法条約」の締約国である中国の合法的な権利を侵犯しており、公正を欠き、合法的なものではない。

 四、中国の南海に対する領土主権と海洋権益はいかなる状況においても、南海仲裁案の結果の影響を受けることはなく、中国は仲裁判決に基づくあらゆる主張と行動に反対し、これを受け入れない。

 五、中国政府は、領土問題と海洋境界線争議において、第三者を通しての問題解決の方法を受け入れず、一切の争議に対する解決を中国に押し付ける行為を受け入れないことを改めて強調する。

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