2019.5.24(金)
懐メロ番組でも今はほとんど採り上げられることのない昭和の歌・通算53曲目は、映画「八月の濡れた砂」の同名の主題歌(昭和47年)。
テレ朝系で倉本聰のオリジナル脚本による昼の帯ドラマ第2弾『やすらぎの刻~道』に浅丘ルリ子がレギュラー役で出演しているが、日本最古の映画会社である日活は、彼女や石原裕次郎、小林旭、宍戸錠、吉永小百合、浜田光夫、渡哲也、芦川いづみ、松原智恵子らのスターを次々に輩出し、’50代後半~’60年代前半に全盛を極めた。 しかし日本映画全体を覆う不況の波に抗しきれず,次第に斜陽産業になっていった。
この『八月の濡れた砂』は、起死回生の会社再建策としてロマンポルノ路線に移行する直前、いわば旧体制日活の最後の作品となった映画だ。 ただ、評価は必ずしも高くなく、せいぜいキネマ旬報ベストテン第10位に入った程度で、映画賞はほとんど得ていない。むしろ、この主題歌だけがその後一人歩きした感がある。 歌っているのは、後に「できちゃった婚」で井上陽水の妻になった石川セリ。
なお、日活ロマンポルノは、昭和46年に白川和子主演の『団地妻 昼下りの情事』を第1作としてスタートし評判を呼んだものの、より過激なアダルトビデオ(AV)の出現により昭和63年に終了したと記録にある。 人間の欲望はキリがない。