作詞家・なかにし礼は、自分の作品中最も好きな曲として「石狩挽歌」(1975)を挙げる。 歌唱は北原ミレイ。
その北原のデビュー曲は、1970年の「ざんげの値打ちもない」。 こちらの作詞は阿久悠。 阿久悠が亡くなり、早10年強が経過した。
歌詞は、犯罪にまで踏み込み、自分の人生を見限って救いのない若い女性の心情を唱う内容で、当時、ひときわ異色で衝撃的な曲として迎え入れられた。
経済成長で社会全体がある意味幼児化しつつある中で、当時流行った「マイホーム主義」とは逆行するような暗さ、情念に満ち満ちている。
阿久悠には、明るいだけではなく、人の心を切り刻む刃のような壮絶な世界もある。
この曲、もともと5番まで歌詞があったが、4番がカットされ発表された。その「幻の4番」を、ここでは、北原が昔を思い出しつつ挿入している。