2017.2.7(火)
体調が少し回復しつつあるので、レディ・ガガが米「国技」のスーパーボウルで魅せたど派手な演出のハーフタイムショーを観た。いやあ、さすがにガガは凄い。 このショーのイントロで歌ったのは「This Land is Your Land(我が祖国)」。 オーストラリアの「Waltzing Matilda(ワルチング・マチルダ)」が第二の豪州国歌と言われるのと同様に、愛国歌的なGod Bless Americaとともに、第二の米国国歌(民衆歌)とさえ言えるでしょう。 この曲を作ったのはWoody Guthrie(ウディ・ガスリー 1912-1967)。 スタインベックの「怒りの葡萄」に描かれた時代〜大恐慌からルーズベルト大統領のニューディール政策による復興、第二次世界大戦から戦後の公民権運動に至るまでの時代〜を生き抜いた人でした。 公民権運動が高まる中でプロテスト・ソングの先駆者として担ぎ揚げられた感がありますが、国家への賛歌ではなく、そこに生きる人々への励ましと自由への賛歌です。God Bless Americaへの反発もあったといいます。 ウディ自身が目にした貧困、飢餓、差別などへの怒りや悲しみを、感傷的に歌うのではなく、ポジティブに人と人との連帯や祖国に対する希望を歌っています。ボブ・ディランの文学的ともいえる詩はウディ・ガスリーの作詞スタイルを継承し、深化させたものと言われています。 マドンナとともに反トランプの旗幟を鮮明にしたガガがGod Bless Americaだけでなくこの曲を選んだところにガガのガガたる本領が発揮された選曲だと言うべきでしょう。 ガガのハーフタイムショーとオリジナルのウディ・バージョン、そして8年前オバマ氏の大統領就任式におけるウディのライバルにして盟友のPete Seeger(ピートシーガー 1919-2014)とBruce Springsteen(ブルース・スプリングスティーン 1949-)の共演によるバージョンをお聞き比べあれ。 たかが歌、されど歌。歌には歴史があります。 Evergreen Music通算885曲目。