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yanxia2008

【常緑音楽館便り】#825 〜もうひとつの9.11〜

2016.12.20(火)

 1973年9月11日に南米チリの首都サンティアゴで発生したチリ・クーデター(Golpe de Estado Chileno)。

 世界で初めて自由選挙によって合法的に選出されたSalvador Allende(アジェンデ)大統領施政下の社会主義政権を、アメリカ政府に支援されたAugusto Pinochet(アウグスト・ピノチェト)将軍らの軍部が武力で覆した事件。

 これ以降、軍事政府評議会による軍事政権の独裁政治が始まったが、冷戦の終結によりアメリカにとっても利用価値がなくなった軍事政権は1989年の国民投票により崩壊した。

 一般に「9・11」とは、2001年のアメリカ同時多発テロ事件を指すことが多いが、ラテン・アメリカでは1973年のチリ・クーデターを指すことも多いという。

 このクーデターを題材とし、Patricio Guzmán(パトリシオ・グスマン, 1941-)監督による史上最高と言われた三部構成のドキュメンタリー映画「La batalla de Chile(チリの戦い)ⅠⅡⅢ」が、40年の時を経て遂に、1月14日から20日まで、フォーラム福島でも公開される。

 また、このクーデターの中、チリのフォルクローレのシンガー・ソングライターであり、歌を通じて社会変革を目指した「Nueva canción(ヌエバ・カンシオン/新しい歌)」運動の旗手の1人として知られるVíctor Jara(ビクトル・ハラ, 1932-1973)が軍部に逮捕され、虐殺されている。

 ベトナム戦争や公民権運動で注目されたボブ・ディランのように、生きていれば、南米のディランと称されたのではないか。

 Evergreen Music通算825曲目は、ベトナム戦争を題材に、侵略と植民地支配に対して「平和に生きる権利」を強く歌ったビクトル・ハラのメッセージソング。

 さほど有名な曲ではないが、「社会」や「歴史」に対して「歌」「音楽」と言われるものの持つ力を知るのも意義がある。

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