2016.3.1(火)
2011年3月の東京電力福島第1原子力発電所事故を巡り、検察官役の指定弁護士が2月29日、東電の勝俣恒久元会長ら旧経営陣3人を業務上過失致死傷の罪で在宅起訴しました。 全く当然のことであり、歓迎するものです。
業務上過失致死傷の故をもって起訴するからには、確たる根拠ありとしたからでしょう。 ならば同時に、元会長らは、重大な過失によって事故を惹起させ、法人たる東京電力株式会社に対し甚大な被害を与えたのですから、当然、現経営陣は、元会長らに対して法人が被った被害の弁償を求める権利があり、また経営責任を果たすことを求めてその請求をし、若しくは提訴すべきと考えます。
もし請求もしくは提訴がなされないなら、今度はそれはそれで、行使すべき権利請求権を故なく放棄し、法人たる東電に対して同様に不利益を与える背任行為を行っているとして、現経営陣そのものが責任を追及されることになるのではないでしょうか。
この点の論調がメディアに一切載らないのは、誠に不可思議と言わざるを得ません。
事故直後、1兆円だったか2兆円だったか、損害賠償請求の訴えを起こす動きがありましたが、うやむやになっており、その後どうなったのでしょうか?
刑事面のみで責任を問うことは、不完全と言わなければなりません。
粉飾決算(虚偽記載)の東芝の現役員が、旧役員5人を相手取り、32億円の損害賠償を求めた例を見ても明らかだと思います。
商法などに詳しい法律家や東電の株主は、いかがお考えでしょうか?
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG26H5X_Z20C16A2000000/
東電の勝俣元会長ら3人を強制起訴 福島原発事故
2016/2/29 日本経済新聞
2011年3月の東京電力福島第1原子力発電所事故を巡り、検察官役の指定弁護士は29日、検察審査会から2度にわたり「起訴すべきだ」とする議決を受けた東電の勝俣恒久元会長(75)ら旧経営陣3人を業務上過失致死傷の罪で在宅起訴した。発生から間もなく5年を迎える今も10万人近くが避難を続ける原発事故について、旧経営陣の刑事責任が法廷で争われる。
ほかに強制起訴されたのは武藤栄元副社長(65)と武黒一郎元副社長(元フェロー、69)。3人は起訴内容を否認する見通し。
起訴状などによると、東電は08年、政府の地震活動の長期評価に基づいて福島原発周辺に最大15.7メートルの津波の可能性があると試算していた。勝俣元会長ら3人は重大事故の危険があると予測できたのに防潮堤強化などの安全対策を怠り、11年の原発事故で避難した近隣病院の患者らを死傷させたとされる。
公判では(1)3人が津波による原発事故を具体的に予測できたかどうか(2)浸水による電源喪失を防ぐ対策をあらかじめ取ることが可能だったかどうか――などが争点となる見通しだ。
東京地検は13年と15年の2度、「高さ10メートルの原発敷地を大きく超える津波が発生し、事故が起きることは予測できなかった」などとして3人を不起訴とした。これに対し東京第5検察審は14年に「起訴相当」を議決し、15年には起訴議決を出した。
強制起訴は、検察官の不起訴に対し11人の有権者からなる検察審が「起訴すべきだ」との議決を2度出した場合、容疑者が強制的に起訴される制度。刑事司法に市民感覚を反映させるため09年に導入された。