2015.11.17(火)
あれは12年前のある日の深夜。 ブラウン管のTVに単体のBSチューナーを接続して衛星放送を見た。 番組は、大量破壊兵器の存在を理由とするイラクへの攻撃案件についての国連安保理の実況生中継である。
ブッシュの米国は、国連の武器査察団(UNMOVIC)のイラク査察が不十分だとして、攻撃に関する決議採択を強く主張。 これに対し、フランスの外務大臣、ドミニク・ド・ヴィルパン(後に首相に)が強硬に反対した。 米仏間の緊迫感溢れるやりとり。 私は、眠い目をこすりながら食い入るようにブラウン管の先に広がる異空間の世界を見つめ、同時通訳を聴き続けた。
しかし、米国は結果として、英国らと共に安保理決議なしで先制攻撃の空爆を行ったことは周知の通り。 その後大量破壊兵器はなかったという結論が出、ブッシュは作戦失敗を遺憾だとし、英国のブレア首相もこれを認め謝罪した(支援した日本は未だに総括していない) 。
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時代は巡り、今度は米国を応援するかのように、シリア空爆に踏み切ったフランスのオランド大統領は、パリ同時多発テロ事件の勃発を受け、更に強硬手段に出ようとしている。 あの頃を忘れたかのようだ。
一方、かのド・ヴィルパンが今般のオランドによるシリア空爆に強く反対した(http://www.france10.tv/international/3566/)ことは、日本では余り報じられていない。
※ ドミニク・ド・ヴィルパン外相の安保理における演説を、別途「私のノート」に掲載しました。