2013.5.20(月)
会議自体は意義があるのだろう。それは否定しない。 でも、福島県にとって本当は、果たしてどうなんだろうか?
思い出されるのは昨年12月の国際会議「原子力安全に関する福島閣僚会議」@郡山市。 政府のアクションを国際的にアピールする役には立ったかも知れないが、IAEAが原子力推進機関であるという性格上、 (1)会議は被災者の声を反映させものではなかったこと (2)原発の根本的な問題や課題には全く触れずエネルギーとしての原発の有意性を確認するに過ぎないセレモニーであったこと (4)会議の成果として締結された「覚書」は、国際法の観点でいえば国際条約に匹敵するものである以上、国際機関(IAEA)と主権国家(日本政府)間の取極となるべきところ、主権国家の一構成員に過ぎない自治体(福島県)を一方の当事者とする(その下位規程の「実施取決め」では県と医科大学が一方の当事者に)ことで、IAEAのメルクマールに「脱原発宣言」を行った福島県が取り込まれる形になったこと などを思い知らされた会議だった。
そこで、今度の子ども会議はどうなんだろうか、ということになる。 子ども憲章を作成するとかもいいかも知れないが、それよりも、除染なり医療・教育・コミュニティの再生なり、現に被災者・避難者が被っている深刻な問題を優先的に克服して真の復興を果たすこと、被災者支援法など国内法体系の全面的整備を完成させることこそ、こんな不条理な事態、状況に子どもたちを巻き込み、つらい思いをさせてしまった大人たちの責任であり、最も緊急・重要なことなのではないか。
世界会議とか国際会議と名付ければ政府はいい対応をしているとか、実態を隠し復興が順調に進んでいるとかをアピールすること自体が実は本当の目的なのでは、と恐れる。 この種のことは、パフォーマンスやポーズ、カムフラージュであってはならない。
【!!! 「福島で世界子ども会議開催」は誤報との告知あり→末尾参照】
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《注意!》
「福島で世界子ども会議開催」は誤報
2013年5月28日
▼2年後の国連防災性会議に合わせて、政府とNGOが世界中の子どもを福島に集め「世界子ども会議」を共催すると報道。しかし、政府もNGOもそのような計画はないと否定している。
【福島民報】 2013/5/20朝刊1面「本県で世界子ども会議 27年、190カ国から2000人超」
福島民報は、5月20日付朝刊1面トップで、2015年3月に仙台市で開かれる国連防災世界会議にあわせて、政府が防災をテーマにした「子ども会議」を福島県内で開催すると報じました。記事は、約190か国から2000人以上の子どもの参加を見込んでおり、政府と「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」と共催になると伝えています。しかし、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは21日、「子ども会議を福島で開催する」「2000人超の子どもを招致する」といったことは検討していないと指摘。福島民報に対し報道内容に誤りがあったことを正式に認めるよう申し入れをしたとのことです。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは2015年の国連防災世界会議で「子ども会議」を開催するよう提言している団体で、23日付で開催についての見解を発表。開催場所は本会議が開催される都市を想定しているとしたうえで、開催地に招聘される子どもの人数も実質的な議論が可能な範囲にとどめるべきとしています。その中で「放射能による健康への影響について様々な懸念が存在する中で、世界防災子ども会議を福島で開催することは考えておりません」と福島県で開催する考えを明確に否定しています。また、同団体は当機構の取材に対し「政府との共催」が決まったかのように報じた部分も明らかな誤りだと指摘しました。
なお、福島民報の記事は、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンを「NPO法人」としていますが、正しくは「公益社団法人」です。