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#043 東京電力第三者検証委員会

検証結果報告書 # 2/3

(2016.6.16)

2 福島第一原発における通報システムについて

  (1)  福島第一原発の手続

 防災業務計画、原災マニュアルによれば、原子力災害が発生した場合には、 次のような手続となる。

  ア 福島第一原発の緊急時態勢等

 福島第一原発の原子力防災管理者である発電所長は、原災法10条所定の事象を発見したときは「第1次緊急時態勢」を、同法 15条所定の事象を発見したときは「第2次緊急時態勢」を発令し、いずれの場合も、すやかに発電所の緊急時対策室に「緊急時対策本部」を設置し、本店原子力運営管理部長に報告することとなっていた。同部長から、東電社長及び東電原子力立地本部長に報告がされ、社長が本店における緊急時態勢を発令し、社長を本店対策本部長とする本店緊急時対策本部が設置されることとなっていた。他方、運営管理部長の指示を受けた本店通報連絡責任者が、保安院や官邸などの関係機関に通報をすることとなっていた。

 本件事故の際にも、この所定の手続が履行された。

  イ 福島第一原発の緊急時対策本部の組織

 福島第一原発の緊急時対策本部(以下、本店の緊急時対策本部と区別するために、「緊急時対策班」ともいう。)では、発電所長を本部長として、発電班(事故状況の把握、事故拡大防止に必要な運転上の措置及び発電所施設の保安維持に当たる。)、技術班(事故状況の把握評価、事故影響範囲の推定及び事故拡大防止対策の検討に当たる。)、情報班(本店対策本部との情報の受理・伝達及び各班情報の収集に当たる。)、通報班(社外関係機関への通報・連絡に当たる。)、復旧班(応急復旧計画の立案と措置、事故復旧計画の立案及び火災を伴う場合の消火活動に当たる。)、保安班(発電所内外の放射線・放射能の状況把握、被ばく管理・汚染管理及び放射能影響範囲の推定に当たる。)並びに広報班(マスコミ対応に当たる。)が設置されることとなっていた。

 本件事故の際も、対策本部に各班が設置され、免震重要棟の緊急時対策室で円卓を囲んで情報・意見を交換しながら、対策を検討し、通報の処理等に当たった。

 なお、福島第一原発には、原子力災害に対して適用することを想定して原災マニュアルに基づき実施する緊急時対策活動の手順書が、発電班、技術班、情報班、通報班、復旧班及び保安班毎に個別に定められており、また、広報班については、地元県、市町村に対する安全協定に基づく情報又は運転保守情報の基準・手続と、公表区分に応じて、発電所情報としてプレス発表等の適切な方法の公表を定めていた。そして、その広報班の定めでは、安全協定に基づくものであれ、運転保守情報であれ、通報は、事象確認後30分以内を原則とし、プレス発表等も、準備でき次第公表するのが原則とされていた が、他方、原災マニュアルによれば、10条通報、15条報告は、15分を目処として行うべきものと定められていた。また、これらの手順書によると、通 報関係の書類作成は、情報班の役割であった。

  ウ 本店の緊急時対策本部等

 本店の緊急時対策本部でも、社長を本部長として、情報班(本部指令の伝達及び発電所対策本部との情報の収集・連絡に当たる。)、官庁連絡班(中央官庁への報告・連絡に当たる。)、技術・復旧班(事故状況の把握・事故影響範囲の評価、応急復旧の総括、事故拡大防止策の評価及び現地への専門技術者の派遣に当たる。)並びに広報班(マスコミ対応及びお客様対応に当たる。) 等が設置されることとなっていた。

 本件事故に際しても、所定どおりの本店緊急時対策本部が設置された。 また、東電社員が、保安院と官邸にも常駐するようになっていた。

 なお、3月15日早朝からは、東電の対策本部が政府との事故対策統合本部となり、官邸側関係者も常駐することとなった。

  (2)  通報までの他の機関との調整

  ア 福島第一原発が10条通報、15条報告をするに際して、本店に相談することはあったが、これらの通報等は、発電所長の専権に属するものであるから、本店、保安院、官邸等の同意を得る必要はなかったものの、東電の社内テレビ会議等によると、通報の必要性等の判断について、本店との間で、詳細なやり取りが行われている事案もあったことが窺われる。

  イ マスコミに対する広報も、原則として、福島第一原発の通報内容が本店の緊急時対策本部の情報班に伝達され、それが広報班によって広報される仕組みで、官邸や保安院の同意を得る必要はなかったが、3月13日午後からは、官邸、保安院から、保安院・官邸に報告されていない事実の公表は控えるように指示され、マスコミ公表については、事前に官邸等へ連絡し、了解を得るようにしていた。3月14日7時53分の3号機のドライウェル(D/W)の圧力上昇について、通報は行われたものの、公表についての了解が得られなかったのはそのためである。なお、3月12日早朝より、炉心溶融の有無について記者から質問されることがあり、当時は、東電も、保安院も、炉心溶融の可能性を否定しない回答をしていたが、13日午後、官邸から、マスコミ発表に際しては、発表内容を事前に連絡するようになどと要請され、そのような経緯の中で、 炉心損傷割合の通報及び公表が行われた。

  ウ 本件事故に関する通報・報告は、発電班からの情報を技術班でチェックし、その上で情報班で書面化(判断の容易な事象については、技術班でのチェックを経ないで情報班が直接に書面化)し、発電所長の了解を経て、通報班による通報が行われた。書面化するに際しては、15条該当の有無の判断をするためには、当然のことながら、原災マニュアルの記載を確認しなければならなかっ たはずである。

 確かに、敷地境界の放射線量の異常上昇の該当の有無の判断などは、原災マニュアルの記載を確認するまでもないが、原子炉の状況についての判断は、原災マニュアルの記載に照らして検討しなければ判断できない事項であるから、通報等の中心的役割を果たした要員の全員が原災マニュアルの記載を参照していたとまでは断定できないが、同人らの判断は、原災マニュアルに拠ったものと判断し得る。

 判断の微妙な事案については、福島第一原発の中でも、福島第一原発と本店との間でも、社内テレビ会議での応答の方法などで検討がなされていた。

 前記のように、本来通報文の作成担当は情報班のはずであったが、技術的チェックが必要な事案では、技術班で資料が作成されることもあったため、通報 文作成の責任者が誰となるのか6、福島第一原発の内部処理にやや混乱が生じていた可能性も否定できない。 6 資料を作成した技術班が責任者となるのか、それに基づいて通報文を作成した情報班が責任者となるのかという問題である。

  (3)  福島第一原発における防災訓練としての通報訓練

  ア 福島第一原発では、本件事故以前においても、火災時の避難訓練などを含む複数の防災訓練を実施しており、毎年1回は、通報訓練も実施していた。

 その訓練の際には、訓練参加者は、緊急時対策室に集まり、予め定められている各班に分かれて、想定された事故に対する通報訓練を行うこととされた。

  イ しかしながら、その防災訓練は、日時が予告され、用意されたシナリオに従ったものであり、最終的には、無事収束するものであったため、訓練参加者が緊張感を持って訓練に臨んでいたと言えないこともあったようである。もちろん、シナリオを開示しないで行われた訓練もあったようである。

  ウ 例えば、平成20年10月21、22日には、福島第一原発の3号機において、非常用冷却設備等複数の設備故障による冷却機能の喪失から炉心が損傷し、原子炉格納容器からの放射性物質の放出による影響が発電所周辺地域に及ぶおそれがある事故を想定して、国、地方公共団体、関係機関等113機関、避難・屋内避難訓練に参加した地元住民約1800人を含む約4000人が訓練に参加する原子力総合防災訓練が実施されていた。その際には、福島第一原発でも、事故拡大防止訓練、特定事象発生の通報訓練、事象状況の経過連絡及び応急措置の概要報告の訓練も行われた。

 また、平成23年2月下旬に行われた福島第一原発の防災訓練では、地震が発生して一つの原子炉の外部電源が喪失し、変圧器が壊れ、次いで非常用電源 であるディーゼルエンジン発電機(D/G)が起動せず、交流電源を全部喪失したという事象が段階的に進行し、原災法10条に基づく通報を行ったという想定で訓練が行われた。

 しかし、その場合も、一定の期間が経過すれば、ディーゼルエンジン発電機(D/G)が復旧することを前提とし、それまでの時間どうやって切り抜けるかを訓練したものであった。

第7 その他の通報についての検討

 1 地震発生から津波到達まで

  (1)  地震による自動停止等

 福島第一原発の原子炉においては、地震発生時点で、1号機から3号機までは稼働中であり、4号機から6号機までは定期点検中のため運転停止中であった。

 地震に伴い外部電源を喪失したが、それに伴い、間もなく、自動的に各原子炉に設置されていたディーゼルエンジン発電機(D/G)が自動稼働した。

 また、稼働中であった 1号機から3号機の原子炉は、自動的に制御棒の差込、蒸気管の閉鎖等により緊急停止(スクラム)した。

 スクラム後間もなく、非常用の冷却装置である、1号機の緊急炉心冷却装置 (IC)並びに2号機及び3号機の原子炉隔離時冷却系(RCIC)が稼働を開始した。

 このうち、1号機のIC については、急激な冷却による炉心への影響を抑えるべく、中央制御室の操作員により、手動による弁の開閉を繰り返していた。ところが、弁の閉鎖処理の段階で津波を迎え、電源喪失により弁の開閉ができなくなり、冷却機能を喪失していたが、福島第一原発では、それに気づくのが遅れた。

 (2) 通報すべき事象の不存在

 津波到達までは、各原子炉に設置されている各種監視計測器は正常に作動しており、計測上異常は認められていなかった。

 なお、福島第一原発の1号機から5号機についての第一報としてなされた「全交流電源喪失」を理由とする10条通報の前の事象が、原子力災害の対象として評価できるかどうか問題がないわけではないが、福島第一原発では、地震と津波のため、負傷者4名と行方不明者2名があることが、平成23年3月11日の22時20分の通報に付加して連絡されており、それは原子炉の状況報告に属するものとして評価できる。

 2 津波到達以降の平成23年3月11日の事象

  (1) 福島第一原発における11日の全体的な事象

 1号機から 3号機で作動していたディーゼルエンジン発電機(D/G)が津波の浸水により稼働を停止し(福島第一原発では、6号機のディーゼルエンジン 発電機(D/G)1台だけが生き残った。)、また、各号機の配電盤も浸水により使用できない状態となった。直流電源も、3号機を除いて使用できなくなった。

 なお、2号機及び4号機の予備ディーゼルエンジン発電機(D/G)が共用プール建屋に設置されており、水没せずに稼働可能であったが、福島第一原発の全号機の配電盤が浸水により機能しないため、使用できなくなっていた。

 電源喪失により、一旦、全号機の中央制御室では、照明もなく、原子炉の各種弁の操作だけでなく、各種の計測器も作動できなくなった。1号機から4号機の中央制御室では、小型発電機による仮設照明が20時49分頃に1・2号機に、21時58分頃に3・4号機に設置された。また自動車のバッテリーを接続することにより21時19分に1号機の原子炉水位計、22時に2号機の原子炉水位計が復旧したが、電動弁や空気作動弁の作動ができない状態が続いた。5号機と6号機の中央制御室では、5号機、6号機とも非常用バッテリーからの給電で監視計器を確認することができた。また、6号機のディーゼルエンジン発電機(D/G)1 台が稼働できたので、6号機側の照明が確保されていた。 19時03分に「原子力緊急事態宣言」が発令され、21時23分に3km圏内の住民に避難指示が、3km〜10 kmの住民には屋内退避指示が発せられた(なお、その約30分前の20時50分に、福島県から、2km圏内の住民に避難指示が発せられていた。)。官邸では、避難指示に先立ち、ベントの方針が決められ、その旨が東電に伝えられ、福島第一原発にも告げられた。

 福島第一原発では、1号機について炉心損傷の可能性を認識していたし、2号機についてもRCICの作動が確認できなかったため停止中と通報していた時点では、同日中に炉心損傷が始まる可能性があると判断していた。そのため、早い段階から、1号機及び2号機のベントの可能性が検討されていた。

 (2) 11 日における各原子炉の事象

  ア 1号機

 1号機では、ICが作動していないことを見落としたこともあって、水位が低下していったのに、発見が遅れた。 16時42分頃、瞬間的に水位が判明したため、一旦1号機について15条該当解除の通報をしたが、再び水位確認ができなくなったため、17時12分 「念のため」として15条該当との報告を行っていた。その後、水位が低下しつつあるため、福島第一原発では、17時15分頃には、1時間で水位TAF (有効燃料頂部)到達との予測がなされていた26。その頃から、注水の代替策として、消防自動車による注水の検討が行われるようになったものの、消防自動車による注水訓練の経験もなかったため、作業準備に手間取り、消防自動車による注水が始まったのは、翌12日の4時頃であった。 11日21時51分には、ICの確認のため原子炉建屋内に入ろうとした操作員が、原子炉建屋入口での放射線量が著しく高いため入ることができず、福島第一原発では、1号機原子炉建屋内への立入禁止処分がなされた。(2) 26 政府事故調中間報告書による。この情報は、福島第一原発の緊急時対策室の円卓で技術班42の要員によって発言されたものと判断されるから、福島第一原発の緊急時対策班及び本店の緊急時対策本部の要員らの間では共有されていたものと思われる。

  イ 2号機 RCIC の作動が確認できなかったため停止中と通報していたが、確認したところ、作動を続けており、11日22時頃には、原子炉内の水位は保持されていることが確認され、ドライウェル(D/W)の圧力には異常が認められなかった。

 

  ウ 3号機 3号機についても、11日には、RCICは作動を続けており、ドライウェル(D/W)の圧力には異常が認められなかった。当日は、まだ、直流電源も維持されていた。

 (3) 11日になされた通報

  ア 福島第一原発では、15時42分に、1号機から5号機について、10条の「⑧全交流電源喪失」に相当すると判断し、16時00分に10条の通報を行った。

  イ ついで、16時36分に、1号機及び2号機について、「注水状況が不明のため、念のため」として、15条の「⑥非常用冷却装置注水不能」に該当すると判断し、16時45分に、15条の通報を行った。その直後の16時55分に 1号機の水位確認ができたとして、1号機について、15条事象解除の通報をした (その書式は、15条様式によるものであった。)が、17時12分に、1号機の水位監視できないので、念のため 15条に該当するとの通報を行った(この通報の様式は、第2報以降の連絡様式によっていた。以後の通報は、いずれも、同じ様式によっているので、通報の様式については省略する。)。

  ウ 21時15分、2号機のRCICを稼働停止中と誤認したため、2号機のTAF到達は21時40分頃、炉心損傷開始予想22時20分頃、原子炉圧力容器(RPV) 破損23時50分頃と通報し、その後22時11分には、2号機の水位が判明し、TAF+3400mmであるとして、TAF見込みを否定する趣旨の通報をした。

  エ 22時20分には、1号機から3号機のプラント関連パラメーターの数値の通報をすると共に、地震及び津波による福島第一原発の負傷者の負傷状況及び行方不明者数の通報をしている。

   オ 23時48分、1号機原子炉建屋前の放射線量を確認して、放射線量の数値を通報した。

  カ なお、11日中の原子炉の状況通報の際には、1号機のI 稼働中と報告されていた。

 (4) 11日の通報の相当性の評価

 通報の相当性の評価は、当第三者検証委員会が知り得た情報に基づくものであり、知り得なかった特別の事情が存在すれば、評価は自ずから異なるものになる。なお、このことは、後述する各日の相当性の評価及び「小括」における評価においても同様である。

  ア 16時00分になされた10条⑧該当通報及び16時45分の15条6該当報告は、1号機に関する限り、結果的には、妥当なものであったと評価される。1号機については、水位の変動に応じて、一旦 15条の解除を通報し、間もなく再び15条該当と通報した。当時の福島第一原発の通報の仕方をみると、15条該当事象を一括してとらえるのではなく、事象ごとに通報する運用をしていたようであり、そのために「⑥非常用炉心冷却装置注水不能」に当たるとして通報した後に、その事象が解消した場合には、他の事象に該当するか否かを考慮せずに、解除の通報をすることとしていたようである。本件事故に関しても、1号機の水位監視が回復したことから、「⑥非常用炉心冷却装置注水不能」に当たるとの報告につき、解除の通報をしている。しかし、実際には、他の15条該当事象が発見されていたようであるから(政府事故調中間報告書)、解除の通報を行う以上、本件事故後の福島第一原発の通報の運用に照らせば、本来であれば同時に他の 15条該当事象の発見を理由とする15条報告も行うのが自然であったと思われる。

 また、1号機については、「⑥非常用炉心冷却装置注水不能」を理由とする15条報告をする時点では、そのほか、「⑨原子炉冷却装置機能喪失」、「⑩直流電源全部喪失」及び「⑬中央制御室等使用不能」を理由とする 15条報告をすることも可能であったとの見方もできる。本件事故を前提にすれば、事故後の混乱から、事象の発見が必ずしも事象の発生の順序どおりにはなされておらず、15条報告そのものも「1・2号機の原子炉水位の監視ができないことから、注水状況がわからないため、念のために原災法15条に該当すると判断した。」としてなされた。この15条報告は、11日16時45分になされ、同日19時03分には原子力緊急事態宣言が発令されており、この報告と原子力緊急事態宣言の発令は、遅滞なくなされたと認められる。このように、「⑩直流電源全部喪失」、「⑬中央制御室等使用不能」及び「⑨原子炉冷却装置機能喪失」による15条報告をするまでもなく、原子力緊急事態宣言がなされており、これらの報告がなかったことによって、原子力緊急事態宣言が遅れたものとは認められない。しかし、原子力災害の評価のためには、これらの事象も重要な事象であるので、報告することが妥当であったと思われる。

  イ 1号機原子炉建屋前の高線量については、原子炉の状況についての情報として、相当であったと評価される。通報までに時間が掛かっているが、確認作業の準備のためと、当時の1号機の状況が悪化していることを考慮すると、妥当性を欠くとまでは言えない。原災法令下では、敷地内の放射線量の異常上昇は、原災法25条、26条報告として処理される性質のものである。

  ウ 2号機については、1号機と同時に水位監視不可として15条の「⑥非常用炉心冷却装置注水不能」に該当するとして報告がなされていたが、11日22時頃には、原子炉内の水位が維持されていることが確認され、また、ドライウェル(D/W)の圧力も上昇していなかったから、11日に限っては、2号機の原子炉には異常は認められていなかった。したがって、2号機については、当時の福島第一原発の通報の仕方からすれば、本来は15条報告の解除の通報をすることになるはずであったが、実際には、その解除の通報はなされなかった。

 ところで、2号機については、「⑥非常用炉心冷却装置注水不能」とは別に、「⑩直流電源全部喪失」の事態に至っていたようであり(政府事故調中間報告書)、1号機と同様の問題があるが、それについては1号機について述べたのと同様である。

  エ 11 日の3号機については、報告すべき事象は認められていなかった。

 3 3月12日の事象

  (1) 福島第一原発における12日の全体的な事象

 福島第一原発では、1時30頃から1号機についてのベント実施の検討に入り、官邸の了解を得て、その実施準備作業に取りかかったが、ベントのための作業が遅れ、結局、ベントの実施が行われたのは14時30分頃になってしまった。

 その間、3時06分、東電が記者会見でベントの予告を行い、5時44分に、10 km圏内の住民に対して、避難指示が発せられた。7時の記者会見では、官房長官は、1号機の圧力上昇の可能性があるので、避難区域の拡大をした旨の説明をした。避難区域は、18時25分、さらに20km圏内に拡大された。

 その間、4時頃から福島第一原発の正門付近のモニタリングポスト(正門MP)における放射線量が上昇を続けていた。 6時50分には経産大臣から、1号機及び2号機についてベント実施命令が発せられていた。 711 分から 8 時 04 分まで、総理大臣が福島第一原発を訪れ、福島第一 原発の吉田所長と会談を行っていた。 7時55分時点では、福島第一原発では、1号機の注水を最優先とし、同号機について、消防車による注水を実施していた。ところが、淡水が枯渇し、また、水素爆発の影響で、注水作業一時中断し、海水注入が始まったのは、19時04分であった。その間、17時55分には経産大臣から、19 時 55分には総理大臣から 1号機へ海水注水するように指示が発せられていた。 15時36分頃、1号機原子炉建屋において水素爆発が発生した。この水素爆発により、負傷者もあり、注水作業等に影響が出た。

  (2)  12日における各原子炉の事象

  ア 1号機

0時30分の時点では、原子炉水位はTAF+1300mmと認められたが、原子炉圧力容器(RPV)及びドライウェル(D/W)の圧力は不明であった。なお、当時ICは稼働中と通報されていた。ところが、0時57分頃には、ドライウェル(D/W)の圧力が0.6MPa超の可能性があるので確認中とされ、2時30分頃にはドライウェル(D/W)の圧力が0.84MPaに上昇した後、 同50分に圧力容器内の圧力が急激に減圧し、ドライウェル(D/W)及びサプレッションチェンバ(S/C)とほぼ同程度となった。注水を試みたが、注 水量が少ないため、ベントを行うこととなったものの、作業に手間取り、ようやく、14時30分頃ベントが行われた。 7時55分時点では、原子炉水位はTAF-100〜+200mm、圧力は原子炉圧力容器(RPV)0.8MPa、ドライウェル(D/W)0.755MPaと通報されていた。なお、当時ICは稼働中と信じられており、その旨の通報がされていた。 10時17分以降、1号機のサプレッションチェンバ(S/C)ベント弁(AO弁)の開操作を試みたが、ベントが十分に行われていないことを疑い、11時30分に操作員が1号機原子炉建屋に入ったところ、106.3mSv/hの放射線量を被曝した。その旨は、官庁等へ連絡された。 15時18分、ドライウェル(D/W)の圧力が0.75MPaから 0.58MPaへ減圧され、1号機の排気筒から白い煙が出ているのが確認され、ベント成功したと判断され、官庁等へその旨の通報がされた。

 その通報直後の 15時36分頃、前記のように、1号機原子炉建屋において 水素爆発が発生した。周辺は、爆発による瓦礫が散乱したが、放射線量はさほど上昇していなかった。

 この爆発により、その直前に成功していた電源車によるホウ酸水注水系ポンプへの電源への接続が切断され、注水のためのホースも損傷した。

 当日4時頃から消防車による淡水の注水が行われていたが、15時頃淡水が枯渇したため、一時注水を中断し(水素爆発による混乱も影響している。)、 19時04分頃から、海水の注入が実施された。そのような注水にも拘わらず、12 時前から原子炉内の水位は、TAFを下回ったままとなった。

  イ 2号機

2号機のRCICは、12日の終日作動し、原子炉水位に異常なく(7時30分 +3600mm)、原子炉の圧力も、原子炉圧力容器(RPV)(2時55分 5.6MPa)、 ドライウェル(D/W)(60kPa)とも、異常がなく、通報すべき事象は存在しなかった。ただ、1号機の水素爆発の爆風により、2号機のブローアウトパネルが開いた格好となっていた。 2号機については、12 日は、通報すべき事象はない。

  ウ 3号機

3号機のRCICは、11時36分まで作動し、12時35分から高圧注水系HPCIが作動していた。原子炉水位は、低下していた(7時30分+50mm) が、3号機についても、12日は、通報すべき事象はない。

  (3)  12 日になされた通報

  ア 0時57分、1号機のドライウェル(D/W)の圧力が0.6MPaを超えている可能性があり、「⑦格納容器圧力異常上昇」として、15条報告がされた。その際の通報では、0時30分時点の1号機の圧力は、原子炉圧力容器(RPV)、ドライウェル(D/W)とも不明とされていた。2時47分、同30分時点のドライウェル(D/W)の圧力0.84MPa、原子炉水位+53mmとなっていることも通報された。

  イ 4時01分には、1、2号機のドライウェル(D/W)ベントをした場合の線量評価(流れる方向は、前回と同じ南側)も通報されている。 たほか、2号機のドライウェル(D/W)ベントした場合に放出される線量評価(南側に海岸線に沿って流れる)も通報している。1号機については、2時50分時点のドライウェル(D/W)の圧力、原子炉水位について、前と同じ数値を通報し、格納容器の圧力0.8MPaと通報した

  ウ 4時01分には、1、2号機のドライウェル(D/W)ベントをした場合の線量評価(流れる方向は、前回と同じ南側)も通報されている。

  エ 5時32分、1号機のドライウェル(D/W)圧力が0.84MPa→0.77MPaと低下しているので、「外部への放射性物質の漏えい」に当たるとして通報した。

  オ 7時59分、1号機のベントに向けて、電源復旧のための仮設ケーブル作業中との通報をしている。

  カ 8時30分に、1号機について、ベント9時頃実施予告と通報し、そこには原子炉水位がTAF付近まで低下している状況であると付記されていた。その通報に際し、各号機の7時55分時点の状況の通報がなされた。そこに記載されている1号機の圧力は、格納容器0.8MPa、ドライウェル(D/W)0.765MPaであり、消防車による注水量3000L、原子炉水位はTAF-100〜+200mmであった。

  キ 9時53分、1号機ベントした場合の被曝評価(南東側に流れる )を通報している。

  ク 11時39分、ベント操作確認のため1号機の原子炉建屋に入った操作員は、106.3mSv/hの放射線量を被曝したため、その旨の連絡をしている。

  ケ 13時12分、直前の12時55分現在の各原子炉の状況についての通報をしている。それによると、1号機については、IC稼働中、原子炉水位は、21000L注水しているのに、原子炉水位-1700mm、圧力は、原子炉圧力容器(RPV) が0.8MPa、ドライウェル(D/W)が0.75MPa、9 時から現場作業開始し、 MO弁25%開け、サプレッションチェンバ(S/C)弁操作したところ、放射線量上昇しているので、ベント開始の可能性ありと通報し、3号機については11時36分にRCICが停止し、12時35分にHPICが作動開始し、原子炉水位が-450mm、ドライウェル(D/W)圧力380KPa、サプレッションチェンバ(S/C) 圧力が800KPaと通報している。

  コ 15時18分、1号機についてのベント後、ドライウェル(D/W)の圧力が 0.75MPaから0.58MPaに低下したとして、「放射性物質の放出」と判断した旨の通報がされた。なお、準備が整い次第、SLCポンプ起動による注入を予定する旨が付記されている。

  サ 16時27分、1号機原子炉建屋の水素爆発(15時36分)について、「強い揺れと、発煙が確認されたが、詳細については確認中、数名の負傷者いる模様」との付記の上、敷地境界放射線量異常上昇(56μSv/h)に該当するとして通報がなされた。その数値は、水素爆発の1時間前の15時31分時点のものであった。ただし、記者会見において、官房長官は、爆発前の15時29分に1015 μSv/h であったところ、 発後の15時40分に860μSv/h、18時58分に70.5μSv/h と下がっていっている旨の説明をしていた。

 この放射線量の数値関係について、12日の爆発直前の15時35分のものまでは通報されているが、記者会見での説明に対応する数値の通報はない。

  シ 20時38分、1号機について、同26分から消火系ラインによる海水注入が開始されたことを通報すると共に、今後ホウ酸の購入を行う予定と通報した。その際に、18時10分及び19時40分の放射線量の測定値が付記されている。

  (4)  12 日の通報の相当性の評価

  ア 1号機についての0時57分の通報は、「7格納容器圧力異常上昇」の可能性があり、確認中としてなされたものであるが、確認中の通報であるから、不適切な通報とはいえない。

  イ ベントの予告は、ベントの影響を考えると地元住民に周知させることが相当であり、それをどのような形で公表するのが妥当かの問題はあるが、1、2号機については、東電は、記者会見の席上で説明していた。

 ベントを、原災法上どのように位置づけるか微妙であるものの、25条の応急復旧対策実施の予告通報の一つと見ることができる。ベントした場合の放射線量の拡散の予告も、結果的には、時間のずれと共に方向が外れてしまったが、予告としては妥当であった。

 なお、その通報に際し記載されている 1号機の原子炉圧力容器(RPV)の圧力0.8MPaは、ドライウェル(D/W)のそれと同程度であり、前日20時07分の原子炉圧力容器(RPV)の圧力6.9MPaと対比してみると、原子炉圧力容器(RPV)の破損が疑われる状態であった。ただし、1号機の水位測定の結果は燃料棒露出の危険領域ではあるものの、大量の注水が行われていたし、また、CAMSによる放射線量計測もできていなかったから、この時点で「炉心溶融」の判断はできなかったと思われる。

  ウ 1号機原子炉建屋の水素爆発の通報は、確認中の段階の速報であるものの、特定事象としては、15条の「③火災爆発等による放射性物質異常放出」と記載されるのが相当であるが、爆発の通報をしているので、その通報は、相当でなかったとまでは評価できない。

 ただし、通報に時間が掛かりすぎている。爆発は 15時36分であったのに、 通報は16時27分であり、官邸でも、爆発をテレビ報道で認知するような状態であった。

 しかし、官庁等が知りたかったのは、爆発後の放射線量の変化、爆発による現場の被害状況等であったと思われるところ、それらの事項に関する通報が見当たらない。官房長官の記者会見では、放射線量の変化に基づく説明がされているから、現場から、保安院への通報は行われた可能性があるが、その他の地元自治体等への通報は見当たらない。

 通報の経緯によれば、1号機原子炉建屋の水素爆発までは、忠実に、丁寧に通報をしていたのに、その水素爆発後、通報がやや不十分になった印象を受ける。爆発後の影響が大きく、現場では、瓦礫が散乱し、その清掃だけでなく、注水作業や、電源復旧作業に大きな影響が出ていたことは理解できるが、現状把握の上で今後の対策の検討の資料の一部とするという情報の提供の必要性の観点から見ると、爆発後の情報の通報の内容はやや不十分であり、通報にも時間が掛かりすぎていたと評価せざるを得ないとも考えられる。

 4 3月13日の事象

  (1) 福島第一原発における13日の全体的な事象

 福島第一原発では、1号機のベントに時間が掛かったため、12日から、2、3号機についてもベントの下準備を始めていた。

 福島第一原発では、早朝のHPCIの作動停止段階から、3号機については、13日朝に炉心損傷の可能性があると判断し、注水作業を急がせていたが、手間取り、注水の中断が6時間半も続いてしまった。

 3号機についてはベント実施を想定し、5時50分にベント予告を記者会見の席上で公表していた。

 (2) 13 日における各原子炉の事象

  ア 1号機

  13日の1号機については、終日海水注入が行われたが、原子炉水位は、12日のTAF-1750mmのままで推移し、原子炉圧力容器(RPV)の圧力は0.324MPa〜0.3623MPa、ドライウェル(D/W)の圧力は 0.530MPa〜0.590MPa等で、サプレッションチェンバ(S/C)の圧力は0.530MPa〜0.585MPa等で推移していた。

  イ 2号機

 13日の2号機については、終日RCICが作動し、原子炉内水位も+ 3650mm〜+3900mm、原子炉圧力容器(RPV)内圧力も6.14MPa等ドライウェル(D/W)の圧力も0.33MPa〜0.435MPaで推移しており、13日の2号機については、通報すべき特定事象は認められなかった。 2号機についても、ベント準備のため、11時までにMO弁開の操作を終えていたが、14日の3号機水素爆発により弁開閉不可能となった。

  ウ 3号機

 2時44分頃HPCIが停止(手動)し、一旦0.58MPaまで低下していた原子炉圧力容器(RPV)の圧力が上昇を続け、5時頃には7.38MPaとなり、 原子炉内水位もTAF-2600mmと低下していた。結局、消防車による注水が行われるまで6時間半ほど注水が中断した。

 そのため、3号機においても、ベントの準備が始まり、5時50分頃、3号機について、ベント実施の予告を報道発表し、8時35分頃に、ベント操作のためMO弁開及びAO弁開の操作が行われて、ラプチャーディスクを除くベントラインの構成ができていた(完了は8時41分頃)。その旨は、官庁等に連絡された。

 また、9時25分頃から消防車による注水が行われた。それにより一旦は、水位がTAFまで再冠水したが、12時頃から徐々に水位は低下していった。 原子炉圧力容器(RPV)の圧力は、HPCIの作動中は0.58MPaに下が っていたが、HPCIの停止後間もなく7.4MPaに戻り、9時08分頃0.46MPaとなり、その後上昇することなく、低下の傾向が以後も続いた。一方、ドライウェル(D/W)及びサプレッションチェンバ(S/C)の圧力は、一旦、0.637MPa、0.59MPaとなり、その後の13日中は、ドライウェル (D/W)0.43MPa以下、サプレッションチェンバ(S/C)も0.4MPa以下であった。

  (3) 13日になされた通報

  ア 3号機について、HPCIが停止し、RCICも再起動しなかったため、5時31分に、5時30分頃にはTAF 到達予定、代替注水の確保の準備とドライウェル(D/W)ベントの準備をしている旨を通報した。なお、その際に、5時時点の各原子炉のパラメーターの測定結果が付加されている。

 ついで、5時53分に、再起動できなかったので、5時10分に「原子炉冷却機能喪失」に該当すると判断したと通報した。その際に、4時50分の正門で の放射線量が3104μSv/hであったことも付記されている。

 6時19分には、3号機については、4時15分にTAFに到達していたと判断した旨の通報もされた。

  イ 7時35分、3号機についてベント準備中であるが、3号機のドライウェル(D/W)ベントした場合の被曝評価(被曝域は、北北東の海上方面)を通報した。

  ウ 7時56分、3号機について、格納容器スプレイを開始したことと、原子炉水位-3000mm、原子炉圧力容器(RPV)圧力7.31MPa、ドライウェル(D/W)圧力460KPa、サプレッションチェンバ(S/C)圧力440KPaと通報した

  エ 9時19分、3号機について、直前の9時08分頃のSR弁により原子炉圧力容器(RPV)の圧力が急減圧し、原子炉圧力容器(RPV)0.46Mpa、ドライウェル(D/W)0.637MPa、サプレッションチェンバ(S/C)0.59MPa、水位+1800mmと通報した。間もなく消防車による注水作業を開始する旨の通報も併せてされている。

  オ 9時20分、MP(モニタリングポスト)-4での線量が882μSv/h と測定されたので、「①敷地境界放射線量異常上昇」に該当する旨の通報がなされた。

  カ 9時36分、3号機について、直前の9時20分のベント操作によりドライウェル(D/W)の圧力が低下傾向にある旨の通報がなされた。なお、そこには、消防車による注水が開始された旨と、放射線量の訂正(8時23分現在882μSv/hを8時21分現在698μSv/hに訂正)も通報されている。

  キ 12時18分、2号機のドライウェル(D/W)ベント準備中、ベント操作開始前の被曝評価中との通報をしている。

  ク 13時39分、3号機について、ドライウェル(D/W)内に消化系ラインで注水準備中、準備でき次第注水開始予定と通報した。 14時23分、上記通報のドライウェル(D/W)を原子炉圧力容器(RPV)と訂正の通報をした。

  ケ 14時23分、MP(モニタリングポスト)-4での線量が905μSv/hと測定されたので、「①敷地境界放射線量異常上昇」に該当する旨の通報がなされた。

  コ 15時18分、2号機のドライウェル(D/W)ベント開始前の被曝評価(被曝域は南南東の海上)を通報した。

  サ 19時10分、その直前の18時45分現在の各プラントのパラメーターの結果を通報している。

  (4) 13日の通報の相当性の評価

  ア 5時53分、9時01分及び14時24分の各放射線上昇通報は、いずれも、妥当なものと評価することができる。

  イ 2、3号機のベント前の被曝域の想定の通報は、25条通報の範疇のものと評価でき、妥当なものであった。結果的には、風の方向が変わって、予測どおりとはなっていない。

  ウ 3号機についての9時19分の減圧等の通報及び9時36分の圧力低下傾向の通報は、原子炉の状況把握、とられている復旧作業等の25条の通報として有意義のものであり、通報は妥当であったと評価できる。

  エ 2、3号機のベントの予告について、東電では、報道公表の形式によっているが、ベントの性質上、広く情報を提供するのが望ましいので、妥当なものと評価できる。

  オ 3号機についてベントによる減圧の報告をしているが、放射線量の変動についての通報がない。官庁等としては、一番知りたい情報である。

 5 3月14日の事象

 (1) 福島第一原発における14日の全体的な事象

 14日は、早朝から放射線量が高まり、何回も、「①敷地境界放射線量異常上昇」に該当するとしての通報がなされた。 4時20分頃から、計測機器に仮設電源を接続し、格納容器内の放射線量計測が可能となった。

 ところで、14日には、早朝から2号機及び3号機の格納容器の爆発の危険性が危惧されていた。 11時01分頃、3号機原子炉建屋が水素爆発した。この爆発による負傷者もあり、注水作業に大きな影響が生じた。特に、2号機の注水ラインが再び損傷し、また、ベント準備のためにあけていたウェットウェルベント弁C/OのAO弁(大弁)が閉じてしまった。

 当日の記者会見で、官房長官は、格納容器は健全、放射線量が大量に飛び散った可能性は低いと説明していた。

 この水素爆発後、保安院により、5km以内の立入禁止処分が出されて作業が中断し、1時間後の12時37分に作業が再開された。

  (2) 14日における各原子炉の事象

  ア 1号機

 1号機については前日から消防自動車による海水注入が行われていたが、 1 時10分注水作業を停止した。汲み上げていた海水の採入口の変更を余儀なくされたためであったが、作業中に3号機原子炉建屋の水素爆発があったりしたため、作業が遅れ、海水注入の再開ができたのは20時30分であった。

 その間、定時的に原子炉の状況の報告がなされていたが、原子炉水位は -1700mm 〜 -1750mm 等、原子炉圧力容器(RPV)圧力は0.315MPa〜0.24MPa、ドライウェル(D/W)圧力は0.51MPa〜0.44MPa等であった。 11時1分、1号機のベント弁が3号機原子炉建屋の水素爆発で電源装置が毀損し、以後弁閉鎖の状態となった。

  イ 2号機

 2号機については前日から作動していたRCICが13時25分頃停止し、ベントを優先させるか、海水注入を優先させるかの検討がされたが、ベントを優先させる方針となったものの、3号機原子炉建屋の水素爆発で準備していたベントのためのSR弁を開ける作業に手間取り(爆発により、弁を開ける電気回路が壊れてしまった。)、ベント弁の開操作が終わったのは19時03分であった。

  19時57分から消防自動車による海水注入も開始されていた(1時間前頃から消防車による海水注入は開始されていたが、直ぐに燃料切れで停止していた。)が、ドライウェル(D/W)の圧力が高すぎ、注水は不完全であった。そのため、2号機については、ドライウェルベントの実施も検討されて、その準備がなされた(結局、2号機についてのドライウェルベントは行われなかった。)。 2号機についても、定時的に原子炉の状況の報告がなされていたが、RCIC作動中には、原子炉水位+3950mmが維持されていたものの、停止に伴い-3700mmと低下し、海水注入が開始されても、-700mmにしか戻らなかった。原子炉圧力容器(RPV)の圧力も5.5MPa〜6.18MPaで推移していたところ、RCICの停止に伴い7.9MPaとなり、SR弁開操作により、一旦0.6MPaに下がり、その後上下動を繰り返すが、14日内は3.2MPaが最高値であった。一方、ドライウェル(D/W)の圧力は、14日の日中は 0.4MPa〜0.48MPaであったのに、深夜の段階では0.74MPaに跳ね上 がり、その状態が翌15日6時過ぎまで続いた。

 当日の2号機のCAMS測定の結果では、炉心損傷割合5%以下と判断していた。

  ウ 3号機

 3号機については、前日、3回のベントが行われたが、14日5時20分にもウェットウェルベント開操作(小弁の操作)が行われている。

 3号機については、前日に引き続いて消防車による海水注水が行われていたが、1時10分から3時20分まで中断したものの、11時01分に3号機原子炉建屋の水素爆発が発生して、消防車とホースが破損し、海水注入が中断した。海水注入が再開されたのは 15時30分であった。すなわち、14日の3号機については、海水注入が2度中断した。

 3号機についても、定時的に原子炉の状況の報告がなされていた。それによると、原子炉水位は、前日深夜から-1800mm〜-2800mmと低下していたが、3時20分からの海水注入により、一旦+1500mm等と回復していたものの、海水注入の中断により-1800mmに低下し、その後その低下の状態が続いた。

 原子炉圧力容器(RPV)の圧力は、前日9時38分以降同様0.338MPa〜0.077MPaであり、ドライウェル(D/W)の圧力は、7時頃0.52MPaとなったが(その時点ではサプレッションチェンバ(S/C)の圧力も0.5MPaであった。)、その後、0.5MPa前後を安定的に推移するようになった。

  11 時01分、3号機原子炉建屋で水素爆発があった

  (2) ウ エ オ 52

  (3) 14 日になされた通報

  ア 14日は、早朝から放射線量が高まり、何回も、「①敷地境界放射線量異常上昇」に該当するとしての通報がなされた。

 2時20分(751μSv/h)、2時40分(650μSv/h)、4時00分(820μSv/h)、 9時12分(518.7μSv/h)、21時35分(760μSv/h)及び21時37分(3170μSv/h)である。

 なお、23時13分になされた23時時点のプラント状況報告の際に、21時37分時点の数値をそれよりも低い2分前の35分の数値に訂正する旨の通報がなされている。

  イ 14日も定時的な各原子炉の状況の報告が、他の情報の際に付加して通報されている。

 当日中に報告された各原子炉の状況の時点は、前日23時30分、2時00分、 3時00分、4時 00分、5時00分、6時00分、7時00分、10時00分、11時25分、13時00分、15時00分、17時00分、23時00分である。 2時30分、3時14分の状況報告では、1、3号機について、海水注入が一時停止していることも通報されている。

 4時24分の状況報告では、3号機については3時20分に海水注入を再開しているが、1号機については注水停止中であることを通報している。

  ウ なお、当日における2号機のCAMSの測定結果の報告では、2号機の炉心損傷割合は5%以下と推定されていた。

  エ 7時53分、3号機のドライウェル(D/W)の圧力が0.46MPa(6時10分現在)となり、「⑦格納容器圧力異常上昇」に該当するとして、15条報告がされた。なお、この圧力上昇についての公表は、6時10分測定によるものであり、官邸及び保安院の同意が得られず、公表は控えられたものの、通報は規定どおりなされた。通報が遅れたのも、その同意が得られなかったことが影響していると思われる。

  オ 13時18分、2号機について、原子炉水位低下傾向にあり、TAF到達15時30分と予想し、直ちに海水注入作業を進めると通報している。発が15条に該当するか否かについての記載はない。

 11時30分、5分前の3号機原子炉の状況通報がされている。10時時点の報告と比べ、原子炉水位が-1500mmから- 1800mmに変化した旨、、原子炉圧力容器(RPV)圧力が0.327KPaから0.185KPaに変化した旨、ドライウェル(D/W)圧力が510KPaから360KPaに変化した旨、サプレッションチェンバ(S/C)圧力が495KPaから380KPaに変化した旨の記載がなされている。

 11時47分、3号機原子炉建屋の水素爆発による負傷者1名、行方不明者6名いる模様との通報している。

 12時21分、自衛隊員退避しているので、それを除き、負傷者社員4名、作業員2名と通報し、格納容器には異常ないと考えていると通報している。

  カ 13時18分、2号機について、原子炉水位低下傾向にあり、TAF到達15時30分と予想し、直ちに海水注入作業を進めると通報している。

  キ 13時38分、各プラントの状況の報告をするとともに、2号機の水位低下しており(12時30分現在+3000mmから13時24分現在+2400mmに変化)、 RCICの機能喪失している可能性があるとして、「⑨原子炉冷却機能喪失」と判断したと通報した。

 15時28分、各プラントの状況の報告をするとともに、2号機の原子炉水位は+1100mmであり、16時30分頃にTAF到達と予想していると通報した。

  ク 16時37分、2号機について、直前に原子炉の減圧操作と、海水注入作業を開始したと通報した。そこには、原子炉水位±0mm、原子炉圧力容器(RPV)圧力6.998MPa、ドライウェル(D/W)圧力 0.42MPaと記載されていた。

 17時25分、2号機については直前の17分にTAF到達と通報した。

 19時32分、2号機については、1 時間前の18時22分にTAF-3700mmになったので、燃料全体露出したものと判断したと通報した。

 21時34分、2号機については、消化系ラインで海水注入していたが、逃がし弁二つを開けた結果、直前の同時20分に水位回復していることが確認されたと通報した。そこに記載されていたのは、原子炉水位-2000mm、原子炉圧力容器(RPV)圧力 0.495MPa、ドライウェル(D/W)圧力0.475MPaで あった。

 22時33分、2号機について、海水注入により水位回復したとして原子炉の状況報告(原子炉水位-1800mm、原子炉圧力容器(RPV)圧力0.405MPa、ドライウェル(D/W)圧力0.48MPa)が通報されたほか、CAMSの測定結果、炉心損傷割合5%以下と判断したとの通報がされた。その通報にも、AMGの「炉心損傷確認ガイド」の該当説明が付記されていた。

  ケ 23時39分、2号機について22時50分にドライウェル(D/W)の圧力が0.54MPaと測定されたので、「⑦格納容器圧力異常上昇」に当たるとして通報がされた。2号機についてドライウェル(D/W)ベント実施の予告もしている。

  (4) 14日の通報の相当性の評価

  ア 「①敷地境界放射線量異常上昇」の報告は、少ない印象を受ける。14日には、2号機の原子炉の圧力の変化の異常、3号機原子炉建屋の水素爆発、3号機のベント実施など、放射線量に及ぼすと思われる事象が続いていたので、放射線量の変化の状況を通報すべきであったように思われる。官庁等や、地元住民が一番知りたがったと思われることは、水素爆発後の放射線量の変動であったと思われるところ、それに関する通報が足りないように感じられる。線量の測定をしていなかったとは思われないので、線量に関する通報はやや不十分であったとみることもできる。

 この日も、500μSv/hを超えた場合の通報について、社内テレビ会議で議論されており、その経過を見ていると、2時20分の751μSv/h、10分後の2時30分の4137μSv/h、さらにその10分後の 2時40分には420μSv/hと変化しており、そのような放射線量の変化を踏まえ、751μSv/hの数値で通報されている。現実の通報時間は、4時24分であるが、それ以前の一番高い数値ではなく、最初の数値で通報しており、この通報の妥当性には問題があるように思われる。

  イ 各原子炉の状況報告、注水作業の現況等の報告は、13日に比較して、定時毎に報告されており、原子炉の状況の変化の把握が容易になっている面があるが、官庁等や、地元住民が一番知りたいと思われる、3号機原子炉建屋の水素爆発の影響が、現場の復旧作業にどの程度影響を与えたのかについての情報が少なすぎるとの印象を受ける。

  ウ 3号機についての7時53分の「⑦格納容器圧力異常上昇」の通報は、妥当なものと評価されるが、公表についての保安院等の同意を得る手続に手間取り、通報までに1時間半ほどかかっている。原災マニュアルでは、通報は、15分を目処として行うこととされているから、不適切とみられてもやむを得ない。

  エ 11時21分の3号機の爆発の通報は、15条の「③火災爆発等による放射性物質異常放出」に該当するか否かの問題がないとは言えないが、放射性物質の異常放出の判断をするには、放射線量の測定の結果を待たなければならならず、早期に爆発の事実の通報をしたのは妥当であったと評価される。

  オ 13時38分の2号機の「9原子炉冷却機能喪失」の通報は、前記のように、その通報の直前に RCICが停止し、その後海水注入まで6時間を要することとなっているから、妥当な通報と評価される。

  カ 23時39分の2号機のドライウェル(D/W)の圧力上昇が「⑦格納容器圧力異常上昇」に当たるとの通報は、妥当な通報と評価される。なお、2号機のベントの予告もしており、その通報をすることが望ましいことは、1号機のベントについて述べたところと同じである。

 6 3月15日の事象

 (1) 福島第一原発における15日の全体的な事象

 15日も、早朝から放射線量が高まり、何回も、「①敷地境界放射線量異常上昇」に該当するとしての通報がなされた。

 6時頃から6時14分頃までの間に、4号機原子炉建屋が水素爆発した。その後、9時38分頃、4号機3階で火災が発生していて、間もなく鎮火した。

 また、前日から、2号機ドライウェル(D/W)の圧力が高いため、2号機の格納容器の爆発を危惧し、福島第一原発の作業員の一部撤収につき官邸と東電との間でやりとりがあり、15日4時17分には、その点について、首相と清水社長との会談が行われ、清水社長が撤収を否定した。

 5時半頃には、政府と東電とで事故対策統合本部を設置することが合意され、 東電の事故対策室に官邸側も臨席するようになった。

 また、その直後、首相が東電本店を訪れ、東電社員に対し、撤退は許されないと述べたことがあったが、その直後の6時14分頃に4号機の水素爆発があり、官邸側も、一部の人達の退避を認めることとなった。爆発は、2号機によるものと心配されたが、それは4号機によるものと判明したものの、9時頃には、2号機のドライウェル(D/W)の圧力が0.73MPaから0.15MPaに急落し、サプレッションチェンバ(S/C)の圧力も0となっていた(0となったのは、計測器の誤作動であることがその後明らかとなったが、その数値を見た当時は、サプレッションチェンバ(S/C)が破損したものと疑われていた。)。

 結局、7時頃から 11時25分まで、監視・応急復旧作業に最低限必要な約70人を残して大部分の650人の作業員が福島第二原発に避難した。そのため、福島第一原発での各原子炉の監視や、現地作業に支障が生じていた。

 9時頃の正門付近では、放射線量が11930μSv/h、10時22分頃の3号機付近では400mSv/h、4号機付近でも100mSv/hとなっていた。

 11時、20km〜30kmの圏内の住民に対して、屋内待避が指示された。

  (2) 15日における各原子炉の事象

  ア 1号機

 1号機については、終日、前日からの消防自動車による海水注入が継続された。 15日の 1号機の原子炉水位は前日同様TAF-1700mmのまま継続し、原子炉圧力容器(RPV)の圧力0.223MPa〜0.0MPa、ドライウェル(D/W) の圧力は検出器不調で測定不能であった。

  イ 2号機

  15日0時頃、2号機についてベント操作が開始されていた。

 2号機についても、消防自動車による海水注入が続けられた。

 2時45分、2号機のCAMS測定結果 11%と社内テレビ会議で発言していた。

 15日の2号機の原子炉水位は 3 時頃ダウンスケール(D/S)、6時頃-2400mm、11時頃以降水位上昇し-1400mmで推移する。原子炉圧力容器 (RPV)の圧力は、0時5分の0.653MPaから1時2分頃には2.520MPaを示し、1時20分頃には再び0.653MPaに下がり、その後ドライウェル (D/W)圧力計が示す0.730MPaと同じ圧力に推移していった。それに対し、前日深夜からの0.72MPa〜0.75MPaと続いていたドライウェル (D/W)の圧力は、11時25分頃には0.155MPaに減圧し、その後13時頃には 0.415MPaに戻るが、その後0.12MPaに減圧していった。前日深夜から0.4MPa〜0.32MPaと続いていたサプレッションチェンバ(S/C)の圧力は、6時頃突然0となり、その後もその状態が続いた。ベントは行われていなかったから、格納容器からの直接漏出が疑われた。

 8時25分頃、2号機の原子炉建屋5階付近壁より白い煙が出ているのが確認された。

  ウ 3号機

 3号機については、終日、前日からの消防自動車による海水注入が継続された。

 15日の3号機の原子炉水位はTAF-2300mm〜-1800mm で推移し、原子炉圧力容器(RPV)の圧力は0.242MPaから0.117MPaに推移し、ドライウェル(D/W)の圧力は0.41MPaから0.295MPaに推移した。

 (3) 15日になされた通報

  ア 15日も、早朝から放射線量が高まり、何回も、「①敷地境界放射線量異常上昇」に該当するとしての通報がなされた。

 その通報内容は、6時50分(583.7μSv/h)、8時20分(807μSv/h)、16時00分(531.6μSv/h)及び23時00分(4548μSv/h)である。

 8時31分正門付近の8217μSv/h、9時00分頃正門付近の11930μSv/h、 10時22分頃の3号機付近での400mSv/hについては、通報はなかった。

  イ 3時57分及び4時17分に、3時の時点の各原子炉の状況(CAMSの測定結果を含む。)と、2号機の減圧操作、原子炉内への注水操作を試みているが減圧しきれない状況であるとの通報がなされた。

  ウ 6時00分から6時10分頃に、2号機において、大きな衝撃音があったので、念のため、作業に必要な要員を残し、対策本部を福島第二原発に移すこととし、避難する旨を6時37分に通報をした(7時及び7時30分に通報内容の若干の訂正通報がある。)。その際には、2号機の原子炉水位、原子炉圧力、ドライウェル(D/W)の圧力、サプレッションチェンバ(S/C)の圧力、CAMSの測定結果の報告も記載している。

  エ 7時44分、4号機原子炉建屋の5階屋根に損傷があることが発見され、また3号機の原子炉建屋上部に水蒸気が浮かんでいることが確認されたと通報した。

  オ 8時36分、4号機原子炉建屋の損傷が確認され、正門付近の放射線量が807μSv/h と測定されたので、「③火災爆発等による放射線量異常放出」に該当すると通報した。

  カ 9時18分、2号機原子炉建屋の5階の壁から白い煙が出ていることを社員が8時25分に確認したと通報した。

 9時56分、4号機原子炉建屋3階に火災発生したので消防に連絡する旨の通報をし、また同時刻、2号機の白い煙の量が増えている旨の通報をした。

 10時21分、4号機の火災について、米軍及び自衛隊による消火活動が予定されている旨の通報をした。

 11時45分、4号機の火災が自然に鎮火していたことが確認された旨、今後も注意深く監視する旨の通報をした(16日5時45分に同じ場所で再び出火が発見され、消防へ連絡する旨の通報がされている。)。

  キ 16時22分、敷地境界での放射線量測定結果が15条報告事象に相当するとの通報とともに、炉心損傷割合についても通報がなされている。

 21時56分、各プラントのパラメーターの測定通知が通報された。その際に、各号機とも、消防車による海水注入が行われている図が添付されている。

  ク 23時20分、正門付近で4548μSv/hと測定されたので、「①敷地境界放射線量異常上昇」に該当するとの通報がなされた。そこには、15日12時10分から23時00分までの間の西門又は正門の線量率の計測数が示されており、16時20分までは所定の500μSv/hを超えていたが、その後減量していたところ、23時00分に再び高線量となったことが示されている(15日23時25分から16日6時30分までの測定放射線量の推移表によると、15日23時30分の8081μSv/hを最高値として、その後減少していくが、16日8時30分でも606.6μSv/hであり、その後また上昇し、16日11時30分には5350μSv/となっていた。)。

 (4) 15日の通報の相当性の評価

  ア 「①敷地境界放射線量異常上昇」の報告は、ある程度の回数なされていることが認められるが、15日を通じての変化の情報としては、不十分であるとも言える。特に、4号機原子炉建屋の水素爆発後、大量の作業員が一時退避した時間帯の通報が欠けている。残されていた作業員数は限られており、しかも残されていた作業の最大の課題は注水作業にあったから、通報が欠けた点につ いては、やむを得ないものともいえるが、2号機の原子炉の状況に異常が疑われる事態にあったから、放射線量は重要な判断資料となるので、通報するのが望ましかった。

  イ 各原子炉の状況報告、CAMSの測定結果、注水作業の現況、2号機原子炉建屋からの白煙等の報告は、原子炉の状況把握、とられている復旧作業の通報として有意義なものであり、通報は妥当であったと評価できる。

  ウ 7時からの作業員の一時避難の予告、その際の2号機の状況報告も、原子炉の状況、復旧対策作業に関するものとして報告をするのが相当な事項であるから、通報は妥当であったと評価される。後から見ると、4号機の水素爆発を2号機の爆発と誤認したことによることが明らかであるが、当時、2号機の格納容器の爆発を危惧していた状態にあったから、やむを得ない通報である。

  エ 15日の2号機のドライウェル(D/W)の圧力が0.75MPaから0.73MPaと高い数値で続き、格納容器爆発を危惧していたところ、ベントの実施も行われていないのに、9時少し前に突然0.15MPaに減圧し、一方、前日深夜から0.4MPaから0.3MPaで推移していたサプレッションチェンバ(S/C) の圧力が6時頃突然0となっていたので、格納容器の破損が疑われる事態となっていたのであるから、原子炉状況の客観的な事実の報告をするのが相当であったと思われる。