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Evergreen Movies
1991年日本公開
羊たちの沈黙
Evergreen Movies 通算9本目。
先週upしたヒッチコックの「サイコ」と共通のモデルとなった事件(1957年頃)を題材にしたサイコ・サスペンスの最高傑作の一つ。
女性を殺害しその皮を剥ぐという猟奇事件を巡り、序盤、中盤、終盤と飽きさせないストーリー展開、ジョディ・フォスターとアンソニー・ホプキンスの圧倒的な名演による緊張感漂う心理戦・・・、恐怖で背筋が凍りつくような世界を十二分に表現している。
元精神科医の猟奇的な殺人鬼ハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)とFBI捜査官訓練生(ジョディ・フォスター)との監獄鉄格子越しの会話、そして会話と会話の間に漂う緊張感溢れる空気感を描いたところは特に秀逸で、映画史に残る名場面。本筋の皮剥ぎ事件がかすんでしまうほどだ。
後に「シックス・センス」「セブン」など、サイコ・サスペンスが量産されるのに先駆けたエポック的な作品であり、1991年のアカデミー賞主要部門を総ナメにした(作品賞、主演男優賞、主演女優賞、監督賞、脚色賞)のも頷ける。
続編は「ハンニバル」(2001)。刑務所から脱獄したレクター博士が再び登場する。
* 写真は毒舌亭自作のDVDラベル画像。
🎬 The Silence of the Lambs Trailer(羊たちの沈黙 / 予告編)
レベッカ
レベッカ
1951年日本公開
Evergreen Movies 通算8本目は、Alfred Hitchcock(アルフレッド・ヒッチコック, 1899-1980)の「Rebecca(レベッカ / 1940年製作、日本公開1951年)」。
英国で活躍していたヒッチコックの渡米第一作で、死体ひとつ現れず、ひたすら”心理描写”に徹したサイコ・スリラー映画だ。
Joan Fontaine(ジョーン・フォンティーン, 1917-2013)が演ずる後妻とLaurence Olivier(ローレンス・オリヴィエ, 1907-1989)が演ずる夫、その先妻「レベッカ」(死者で画面には登場しない)の3人をめぐる、おどろおどろしい大邸宅の洋館を舞台にした愛憎劇が展開される。
ヒッチコックにとって生涯唯一のアカデミー賞最優秀作品賞獲得作(1940。以後、5度ノミネートされた監督賞はすべて逃している)。
当初、主演には、ジョーンではなく、あの「Gone with the Wind(風と共に去りぬ / 1939)」のVivien Leigh(ヴィヴィアン・リー, 1913-1967)らが候補に挙がっていたそうだ。
なお、「レベッカ」という名前は旧約聖書にも登場し、うっとりさせる者、魅惑する者、束縛する者という意味があるそうだ。
* 写真は毒舌亭自作のDVDラベル画像。
1971年日本公開
男はつらいよ
奮闘篇
これまで洋画が続いたが、Evergreen Movies 通算7本目は邦画で、寅さんシリーズ第7作「男はつらいよ 奮闘篇」(1971年)。
マドンナとして出ていたのは、榊原ルミ(現在67歳)。
青森津軽から静岡三島の紡績工場に就職した知的障害のある花子役を演じ、寅さんとのほのぼのとした交流シーンを好演した。
お馴染みリリー役の浅丘ルリ子や竹下景子、吉永小百合、松坂慶子、栗原小巻、大原麗子ら華やかなマドンナたちと比べると地味だが、毒舌亭には好ましく映ったものだ。
ロサンゼルスに移住していたが、今は11年間の米国生活に終止符を打ち、帰国しているようだ。
昨年、テレ朝系「特捜9」(井ノ原快彦主演)にゲスト出演しているのをたまたま観た記憶がある。
なお、「男はつらいよ」は、今年12月29日に4Kデジタル修復を実施した50周年記念松竹正月映画「おかえり、寅さん(仮題)」として復活する予定だ。
山田洋次監督は「観客は、今まで映画に登場したすべての人に会える」と言っているから、若き榊原ルミにも会えるかと思うと、今から楽しみだ。
* 写真は毒舌亭自作のDVDラベル画像。
サイコ
1960年日本公開
Evergreen Movies シリーズ第6作目は、Alfred Hitchcock(アルフレッド・ヒッチコック, KBE, 1899-1980)監督による1960年製作公開のサスペンス映画。
二重人格者の犯罪を扱った伝説的ヒッチコック・スリラーにして全てのサイコ・サスペンスのルーツとなりました。
主演はAnthony Perkins(アンソニー・パーキンス, 1932-1992)。
ストーリーの怖さもさることながら、更に恐怖心を募らせるBernard Herrmann(バーナード・ハーマン, 1911-1975)のおどろおどろしい音楽が映画に絶妙の効果を与えています。
この映画によって「サイコ」という言葉は日本を含む世界中に広まり、「精神疾患(障害)」「多重人格」という意味を持つようになり、さらにここから「サイコホラー(psychohorror)」「サイコスリラー(psychothriller)」「サイコサスペンス(psychosuspense)」「サイコパス(psychopath, 精神病質)」など様々な使われ方が派生しました。
現在では、二重人格や多重人格など、切り離した感情や記憶が成長して、別の人格となって表に現れる症状を解離性障害(Dissociative Disorders; DD)との呼称で定義しているようですが、短絡的にこの疾患を犯罪に結びつけて論じることがあっては、もちろんならないでしょう。
ところで、ひたすら息を吸うように嘘を吐き続けるサイコパスのような誰かさんがいて、阪神・淡路大震災発生の日に米国製ステルス戦闘機147機購入のニュースをぶつけるとは、何ということでしょう。
しかも、そんな御仁のふるまいに完全に麻痺しきっている国民が如何に多いか、これは大いに恐がらなければならない悪夢と言うほかありますまい。
*写真は半自作のDVD風ラベル。
🎬 Psyco Movie CLIP(シャワー室のシーン【気の弱い方は閲覧注意】)
ガス燈
1947年日本公開
今日は仕事場で、名跡「十三代目市川団十郎」の襲名を表明した海老蔵のように大見得を切り疲れたので、帰宅してからこの映画のDVDをゆったりと見ている。
これを見た理由は単純。
「Ingrid Bergman(イングリッド・バーグマン, 1915-1982)」が大好き、それだけである。
原題は「Gaslight」、監督は「マイ・フェア・レディ」「スタア誕生」「フィラデルフィア物語」のGeorge Cukor(ジョージ・キューカー)で、1944年に製作されたサスペンス映画だが、公開は1947年。
まあ、どちらにしても私は生まれておりませんがね。。。
主演はもちろん、あの「Casablanca(カサブランカ)」でボギーことHumphrey Bogart(ハンフリー・ボガート, 1899-1957)に「Here's looking at you(君の瞳に乾杯)」と言わしめたバーグマン、共演は、夫役に「歴史は夜作られる」「凱旋門」「80日間世界一周」「おしゃれ泥棒」のCharles Boye(シャルル・ボワイエ, 1899-1978)、警部役に「市民ケーン」「第三の男」などOrson Welles(オーソン・ウェルズ, 1915-1985)作品では常連のJoseph Cotten(ジョセフ・コットン, 1905-1994)など。
作品自体はアカデミー賞作品賞にノミネートされたが、受賞は逃した。ただ、バーグマンは主演女優賞を受賞している(ゴールデン・グローブ賞女優賞も)。
この頃のバーグマンは実に綺麗でした。
Evergreen Movies シリーズ第5作目(写真は半自作のDVD風ラベル)。
ガス燈
つばさ
1928年日本公開
年末の世界同時公開映画「ボヘミアン・ラプソディ」でリバイバル・フィーバーを巻き起こしたクイーン。
正月に入るや、この映画でゴールデングローブ賞作品賞、主演男優賞を獲得したかと思いきや、今度はメンバーのブライアン・メイが辺野古の新基地建設を巡るホワイトハウスへの嘆願署名を呼び掛けた。お達者ですなあ。
映画といえば、常緑名画座便りを久し振りに再開することにした。
再開第一作は、米アカデミー賞に敬意を表して、第一回作品賞受賞作「つばさ(原題:Wings)」。1928年公開、監督はウィリアム・A・ウェルマン。
空中戦映画の先駆的な超大作として映画史上に名高い作品で、監督自身の第一次大戦でのパイロットとしての従軍体験がよく反映されたモノクロ、サイレント作品だ。
主演はクララ・ボウ。モダン・ガール、いわゆる「モガ」で売り出したセクシャルな女優。
戦争を題材にしてはいるが、思いのほかラブ・コメディ的なタッチの映画で、90年前の映画なのに、意外に楽しめた(写真は半自作のDVD風ラベル)。
🎬 Wings(つばさ)予告編